生物は生きていくために, エネルギーを消費する。その仕組みは, ちょうど我々がお金を使うように, エネルギーの通貨を用いて行っている。生物のエネルギー通貨は, バクテリアから動植物を通じて一定している。アデノシン-5'-三リン酸(ATP)と呼ばれる物質である。このことは, 生命の進化からみて, 驚くべき事実である。大腸菌と人間のエネルギー物質が同一なのだから。ATPは, よほど生物に適した物質といえよう。生物におけるエネルギーの利用の問題は, ATPをどのようにして使うのかということになる。
抄録全体を表示