新入学生は「化学」という語からは, 白衣, 試験管, 試薬瓶などを連想し, また, 化学とは教室で学ぶ学問であって自分たちの日常生活とは何のかかわりもないものだと思っているらしい。そういう学生・生徒に化学を学ぶ気を起こさせるには, 身の回りの物を取り上げるのが有効である。本稿では誰にでも容易に入手できる物質と器具だけを用いてできる実験を紹介する。もともと家庭の炊事場は, 給配水, ガス, 電気など化学実験室と同じ機能を備えており, コップや皿はビーカーやシャーレとして, またコーヒーフィルターは濾紙として使える。容量器としては計量スプーンや計量カップがあり, 郵便物用のはかりは1gの精度がある。時間にしばられずに自宅で実験するのは楽しいではないか。
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