単分散マイクロビーズの調製を目的として, 食品加工に使用可能な油相を連続相とし, ゼラチン溶液を分散相として用いて, MC相当直径が16.8μmの基板によりMC乳化を試み, 水相にゼラチンを含む水中油滴型 (W/O) エマルション作製に与える影響を調べた. ゼラチンをpH7.4の0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液に溶解させて5wt%溶液としたものを分散相として, ヘキサン, ヘプタン, ヘキサン酸エチル, オクタン酸およびトリオレインのそれぞれにテトラグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを溶解させて5wt%溶液としたものを連続相としてMC乳化を行なった. ヘキサン, ヘプタンおよびヘキサン酸エチルを連続相として用いた場合, その平均粒径
Davは, それぞれ38.7, 37.7および36.8μmとなった. また相対標準偏差RSDは, 3.5, 4.5および3.4%となり, MC乳化が良好に行なわれたことが確認できた. またオクタン酸を連続相として用いた場合, 分散相が流出し液滴を得ることが困難であった. 一方, トリオレインを連続相で用いた系では, 液滴の作製は可能であったが,
DavおよびRSDは, それぞれ63.5μmおよび20%となり, ヘキサン, ヘプタンおよびヘキサン酸エチルを連続相として用いた場合に比べて液滴径が大きく多分散なエマルションが得られた.
ヘキサンについては, 良好なMC乳化が行なわれるが, 40°Cにおいては, 揮発量が多くエマルションの回収が困難であった. したがってゼラチンマイクロビーズの調製は, ヘプタンおよびヘキサン酸エチルを連続相として用いた場合にのみ行なった. ヘプタンおよびヘキサン酸エチルを連続相として用いた場合, その
Davは, それぞれ18.2および16.9μmとなった. RSDについては, ヘプタンが8.8%で, ヘキサン酸エチルが18%であった.
食用油脂の抽出に用途が限定されているヘキサンや着香目的にのみ利用が可能なヘキサン酸エチルと比べて, ヘプタンは製造用剤として特に制限のない利用が認められており, MC乳化によるゼラチンマイクロビーズ調製に適した油相であると考えられる.
抄録全体を表示