化学と生物
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46 巻, 10 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
巻頭言
今日の話題
解説
  • 記憶細胞における抗原提示の役割
    下田 美智子
    2008 年 46 巻 10 号 p. 676-681
    発行日: 2008/10/01
    公開日: 2011/05/23
    ジャーナル フリー
    有効な予防接種の開発は,感染防御対策の一環として,常に重要な研究課題である.多くの予防接種は,病原体に特異的な記憶B細胞の働きに依存しており,記憶B細胞の維持および抗体産生細胞への分化機構の解明が待たれる.最近の研究により,記憶B細胞は主としてT細胞非依存的な機構によって維持されているのに対し,記憶B細胞の抗体産生細胞への分化には,T細胞への抗原提示が重要な役割を果たしていることが明らかになってきた.
  • 山賀 文子, 鷲尾 健司, 森川 正章
    2008 年 46 巻 10 号 p. 682-688
    発行日: 2008/10/01
    公開日: 2011/05/23
    ジャーナル フリー
    微生物活性を利用した環境浄化法は,地球への負荷が少ない技術として広く認知されている.しかし,実用的技術としては,有用微生物の現場での定着率の低さによるコスト高や浄化後に危惧される微生物の異常増殖や生態系の攪乱などの問題が常に指摘されてきた.近年,この問題を解決する一つの方向性として根圏微生物の活用が注目されている.植物の光合成作用と微生物の汚染物質分解活性をリンクさせるこの手法の一例を紹介するとともに,今後の可能性を展望する.
  • 千田 美紀, 木村 成伸, 福田 雅夫, 石田 哲夫, 千田 俊哉
    2008 年 46 巻 10 号 p. 689-696
    発行日: 2008/10/01
    公開日: 2011/05/23
    ジャーナル フリー
    電子伝達タンパク質間の酸化還元状態依存的な親和性調節機構は,長年にわたり多くの研究者の興味の的であった.著者らは,芳香環水酸化ジオキシゲナーゼの電子伝達系を構成する2つのタンパク質の計6種類の反応中間体と,電子伝達の際に形成される複合体の結晶構造を決定した.これらの構造から,電子伝達の反応サイクル中に生じる一連の構造変化を明らかにし,これらの構造変化と電子伝達タンパク質間の親和性調節との関連を示した.
  • 食肉の品質改良への可能性
    亀井 康富, 河内 浩行, 柴田 昌宏, 小川 佳宏
    2008 年 46 巻 10 号 p. 697-701
    発行日: 2008/10/01
    公開日: 2011/05/23
    ジャーナル フリー
    食肉(牛肉)の肉質等級は主に,肉色,肉のキメ・シマリ,脂肪交雑,脂肪の光沢と色によって評価され,特に前三者は食肉の価格に大きく反映される重要な形質である.骨格筋の形質の決定において核内受容体などの転写因子や転写共役因子の重要性が近年明らかにされている.食肉の品質を規定する因子の候補として有望なこれら因子の分子機構を概説する.
  • その多様性と機能
    朝倉 富子, 田村 倫子, 寺内 かえで, 阿部 啓子
    2008 年 46 巻 10 号 p. 702-709
    発行日: 2008/10/01
    公開日: 2011/05/23
    ジャーナル フリー
    植物プロテアーゼの研究は,種子中に種類・量とも豊富に存在し,しかも主要タンパク質の合成過程でのプロセシング,種子発芽過程での貯蔵タンパク質のプロテオリシスに関わるプロテアーゼのシンク機能についての研究が中心を占めてきた.しかし近年では,プロテアーゼが貯蔵タンパク質の分解だけではなく,発芽,形態形成,細胞内タンパク質の代謝回転,成長,老化,細胞死,植物ホルモン応答など多様な生命現象に深く関わるソース機能を兼備することが,次々に解明されている.ここでは,アスパラギン酸プロテアーゼを中心に,その分子的特徴と生理機能について解説する.
  • 堀尾 文彦, 小林 美里
    2008 年 46 巻 10 号 p. 710-716
    発行日: 2008/10/01
    公開日: 2011/05/23
    ジャーナル フリー
    2型糖尿病は,遺伝因子と環境因子が相互に作用し合って発症する多因子疾患である.遺伝因子について見れば,多遺伝子支配型の2型糖尿病の割合は高く,このタイプの原因遺伝子の同定にはヒトの病態を反映した自然発症モデル動物の利用が不可欠である.既知の遺伝子について操作したトランスジェニック動物とは違い,自然発症モデル動物からは未知の糖尿病遺伝子が判明する可能性があり,疾患発症の新たな機構が見いだされる可能性も期待される.ここでは,優れた多遺伝子支配型2型糖尿病自然発症モデル動物について解説し,それらを用いた2型糖尿病原因遺伝子の解析の現状について述べる.
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