化学と生物
Online ISSN : 1883-6852
Print ISSN : 0453-073X
ISSN-L : 0453-073X
46 巻, 2 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
巻頭言
今日の話題
解説
  • mRNAプロセシング・核外輸送・品質管理ネットワーク
    福中 彩子, 山崎 智弘, 藤原 奈央子, 増田 誠司
    2008 年 46 巻 2 号 p. 90-100
    発行日: 2008/02/01
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
    高等真核生物では,タンパク質をコードするmRNAは,核内で合成され,5' 末端のキャッピング,スプライシング,3' 末端のポリアデニル化といったプロセシングを受けることで,成熟したmRNAとなる.成熟mRNAは,核膜孔を通過して細胞質に移動し,タンパク質翻訳の鋳型となる.この際,mRNAに不都合があればタンパク質をつくることなく分解される.一方,翻訳の鋳型として働いたmRNAも,最後には役目を終えて分解される.これらの過程に関わる因子と,各過程を共役する因子が同定されたことによって,mRNAの生合成から分解までの全体像が少しずつ明らかになりつつある.遺伝情報の伝令役であるmRNAが生合成されてから分解されるまでを,最新の知見を織り交ぜて紹介する.
  • 宇山 浩
    2008 年 46 巻 2 号 p. 101-107
    発行日: 2008/02/01
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
    ナノサイズのファイバー作製法として注目されている電界紡糸.簡便な装置で既存のファイバー化技術では対応できないバイオポリマーなどの材料も紡糸することができ,単独紡糸できない材料でも容易に複合ファイバー化が可能である.得られるファイバー不織布はナノスケールの材料特性を活かすことで,フィルターをはじめとして,バイオマテリアル,触媒,デバイスなどに応用されており,ナノテクノロジー分野の次世代の機能材料として期待される.
  • 高桑 直也
    2008 年 46 巻 2 号 p. 108-114
    発行日: 2008/02/01
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
    酵母 Saccharomyces cerevisiae は,真核生物のモデル細胞として古くから基礎研究の材料に使用されている.その脂質成分は,一般の真核生物と概ね類似した組成をしていると評価され,脂質代謝や生理機能を探る上でも格好の材料として利用されてきた.しかし,S. cerevisiae は真核生物の代表的なスフィンゴ糖脂質であるグルコシルセラミドをまったく合成しないので,当該研究分野には適応できない一面がある.そのような中,S. cerevisiae に近縁な酵母において,グルコシルセラミドを合成する酵母がいくつか発見された.これらの酵母は,スフィンゴ糖脂質研究の新しいモデル生物として活用できると期待され,さらに産業上の利用の可能性も見えてきた.
  • 服部 淳彦
    2008 年 46 巻 2 号 p. 115-122
    発行日: 2008/02/01
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
    ウシの松果体より単離されたメラトニンは,近年生物界に広く存在する物質であることがわかり,また機能としては,時刻情報の伝達物質やフリーラジカルのスカベンジャーなど多彩な作用が報告されている.さらに最近では,メラトニンの骨形成・骨代謝調節に関わる新しい機能が明らかにされつつある.著者らは,メラトニンに破骨細胞の分化や機能を抑制する作用のあること,そして新規メラトニン誘導体の中に破骨細胞を抑制し,かつ骨芽細胞を活性化させるもののあることを見いだしており,骨粗鬆症の予防薬あるいは治療薬への新たな展開が期待される.
  • 玉置 祥二郎, 島本 功
    2008 年 46 巻 2 号 p. 123-127
    発行日: 2008/02/01
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
    花成ホルモン — フロリゲン — は,植物の葉で合成され茎頂分裂組織へと運ばれて花成を促進させるホルモンとして1930年代にその存在が提唱された.以来約70年にわたり,多くの科学者によりこのフロリゲンの実体がどのようなものであるかが議論されてきた.2007年,著者らを含むいくつかの研究グループにより,花成ホルモンの実体がHd3a/FT遺伝子がコードするタンパク質であり,葉でつくられたHd3a/FTタンパク質が茎頂分裂組織へと移動することで花成を誘導している可能性が高いことが明らかとなった.ここでは,著者らの研究を中心にその経緯を紹介する.
  • 中山 克大, 大川 久美子, 稲葉 丈人
    2008 年 46 巻 2 号 p. 128-134
    発行日: 2008/02/01
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
    植物は温度や乾燥などのストレスに曝されると,環境に応じて体の状態を積極的に変化させることによって生命を維持する.環境ストレス条件下では多くの遺伝子の発現が誘導されるが,中でも顕著に誘導されるのがLEAタンパク質に代表される親水性タンパク質である.これらタンパク質の特徴や機能は長年不明であったが,最近の研究により,その一端が明らかにされつつある.植物の環境ストレス応答に関与する親水性タンパク質の特徴と役割を概説する.
セミナー室
エッセイ
feedback
Top