酵母
Saccharomyces cerevisiae は,真核生物のモデル細胞として古くから基礎研究の材料に使用されている.その脂質成分は,一般の真核生物と概ね類似した組成をしていると評価され,脂質代謝や生理機能を探る上でも格好の材料として利用されてきた.しかし,
S. cerevisiae は真核生物の代表的なスフィンゴ糖脂質であるグルコシルセラミドをまったく合成しないので,当該研究分野には適応できない一面がある.そのような中,
S. cerevisiae に近縁な酵母において,グルコシルセラミドを合成する酵母がいくつか発見された.これらの酵母は,スフィンゴ糖脂質研究の新しいモデル生物として活用できると期待され,さらに産業上の利用の可能性も見えてきた.
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