化学と生物
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46 巻, 7 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
巻頭言
今日の話題
解説
  • 川原 学, 尾畑 やよい, 河野 友宏
    2008 年 46 巻 7 号 p. 452-459
    発行日: 2008/07/01
    公開日: 2011/04/14
    ジャーナル フリー
    著者らは,2セットの半数体雌ゲノムのみから発生させた二母性マウス作出系を独自に開発してきた.また,その過程で他の実験系では実現が困難なアプローチからゲノムインプリンティングがどのように個体発生を制御しているかという視点で多くの知見を得てきた.ここでは,特に精子形成過程で制御を受ける父性メチル化インプリント領域のうち個体発生に特に重要なのは一体どこなのかということに焦点を絞って展開してきた著者らの最近の研究成果について解説する.
  • 林 登志雄
    2008 年 46 巻 7 号 p. 460-464
    発行日: 2008/07/01
    公開日: 2011/04/14
    ジャーナル フリー
    シトルリンはアミノ酸の一種で,尿素回路を構成する化合物の一つである.1930年に日本の研究者によって,スイカの果汁から発見された.化学式は C6H13N3O3,化合物名は2-アミノ-5-(カルバモイルアミノ)ペンタン酸,分子量は175.2である.「シトルリン(citrulline)」という名前は,スイカの学名である Citrullus vulgaris に由来する.動物,特に哺乳類に広く存在し,1950年ごろには,ヒトの体内で重要な役割を果たしていることが明らかになり,1980年代に入ると,一酸化窒素(NO)との関係が見いだされ,今日この分野での研究が活発に行なわれている.
  • 栗田 大輔, 武藤 昱, 姫野 俵太
    2008 年 46 巻 7 号 p. 465-471
    発行日: 2008/07/01
    公開日: 2011/04/14
    ジャーナル フリー
    タンパク質合成の場であるリボソームは,3種類のRNAと50種類以上のタンパク質からなる分子量250万もの巨大な複合体であることから,構造解析は困難と考えられてきたが,今世紀に入り相次いで高分解能の結晶構造が報告された.最近では,tRNAをはじめ各種翻訳因子とリボソームとの複合体の構造も報告されるようになり,その中から“タンパク質がtRNAを分子擬態する”という新しい概念が生まれた.ここでは,トランス・トランスレーションと呼ばれる変則的な翻訳システムとその主役であるtmRNAに焦点を当て,これまでにない新しい“分子擬態”について紹介する.
  • 松下 一信, 赤田 倫治, 山田 守
    2008 年 46 巻 7 号 p. 472-477
    発行日: 2008/07/01
    公開日: 2011/04/14
    ジャーナル フリー
    古来より利用してきた有用微生物の中に耐熱性を有する発酵微生物を見いだした.その育種,さらには背景にある「耐熱性」の原理を理解することで,温度管理を必要としない発酵が可能となり,国内だけに留まらず,熱帯気候の東南アジアや冷却水に不自由な乾燥気候をもつ東アジアでの発酵産業に貢献することが期待される.地球温暖化がすすむ中,耐熱性発酵微生物が次の時代の発酵を支えるようになるかもしれない.
  • 細胞死メカニズムの解明をめざして
    闐闐 孝介, 袖岡 幹子
    2008 年 46 巻 7 号 p. 478-482
    発行日: 2008/07/01
    公開日: 2011/04/14
    ジャーナル フリー
    細胞が自ら積極的に死ぬという現象は,「アポトーシス」という言葉で広く受け入れられ,その詳細な分子機構が解明されてきた.一方,偶発的に起こる細胞死とされてきた「ネクローシス」にも,近年何らかの制御機構が存在することがわかってきた.著者らはその特異的な阻害剤の開発に成功し,これを用いてネクローシスの分子機構の解明を進めている.ここでは,その開発の経緯と分子機構解明をめざした研究について紹介する.
  • 宮下 和夫
    2008 年 46 巻 7 号 p. 483-490
    発行日: 2008/07/01
    公開日: 2011/04/14
    ジャーナル フリー
    褐藻に多く含まれるカロテノイドの一つフコキサンチンは癌細胞に対するアポトーシス誘導能や抗酸化活性などに加え,肥満モデル動物の内臓脂肪(白色脂肪)中に脱共役タンパク質(UCP1)を発現させ,これにより脂肪を分解して体熱として発散させる活性のあることが最近明らかになった.また,フコキサンチン投与により,糖尿病病態マウスの血糖値が正常レベルまで低下することもわかり,効果的な抗肥満活性を示す新たな食品素材として注目されている.
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