化学と生物
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46 巻, 8 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
巻頭言
今日の話題
解説
  • 中村 友紀, 山中 伸弥
    2008 年 46 巻 8 号 p. 531-538
    発行日: 2008/08/01
    公開日: 2011/04/18
    ジャーナル フリー
    分化多能性をもち,その性質を維持したままほぼ無限に増殖させることができる胚性幹細胞,ES細胞は細胞移植治療や創薬試験系への応用に大きな期待が寄せられてきた.しかし,その作製には受精卵が必要になることから倫理的に慎重な運用が求められ,また他家移植となることから免疫拒絶の制御という問題も抱えていた.これらを回避すべく,真に臨床応用可能な幹細胞の開発を目指し,様々な研究が行なわれている.ここでは,その試みから生まれた人工多能性幹細胞,iPS細胞について,樹立までの経緯とそのインパクト,展望について触れたい.
  • 大気中のCO2濃度上昇はどのように水田からのCH4放出に影響するか
    程 為国
    2008 年 46 巻 8 号 p. 539-543
    発行日: 2008/08/01
    公開日: 2011/04/18
    ジャーナル フリー
    二酸化炭素に次ぐ温室効果ガスで,単位質量あたり二酸化炭素の20倍以上の温室効果があるメタンの発生源については不明な点が多い.また,主要な発生源とされる水田からのメタン放出は,今後確実視される二酸化炭素濃度の上昇によって増加することが明らかになってきた.これは,さらに地球温暖化を加速させることを示唆している.ここでは,大気中の二酸化炭素の濃度上昇がどのように水田からのメタン放出に影響するかを解説する.さらに,二酸化炭素の濃度上昇による水田からのメタンの放出量の増加率の変動要因を分析する.
  • 佐藤 健司, 橋本 香織
    2008 年 46 巻 8 号 p. 544-549
    発行日: 2008/08/01
    公開日: 2011/04/18
    ジャーナル フリー
    食品タンパク質酵素分解物水溶液を調製用等電点電気泳動装置に加え通電することにより,サンプル中のペプチドがアンフォライン(両性担体)として働きペプチドの分画が生じることが見いだされた.著者らはこの現象をAutofocusingと呼ぶことを提案し,実際に 50l の水槽をナイロンメッシュに支持されたアガロース膜で仕切ることにより,大容量のサンプル処理量をもつAutofocusing装置を開発した.この装置により動物実験での評価に耐えうる量のペプチド画分を調製すること,そして消化・吸収を考慮した活性ペプチドの同定が可能となった.連続的なAutofocusing装置を用いた産業的なペプチド分画の可能性にも触れる.
  • 村田 正之, 山田 守
    2008 年 46 巻 8 号 p. 550-556
    発行日: 2008/08/01
    公開日: 2011/04/18
    ジャーナル フリー
    プログラム細胞死(PCD)は,個体の恒常性維持のため,あるいは発生や分化の過程で起こる,積極的な異常細胞や不要細胞の排除機構として広く認知されている.多細胞生物特有の機構と考えられてきたが,最近,原核生物や単細胞真核生物においてもPCDの存在が明らかになってきた.ここでは,原核生物の幾つかのPCDについて紹介するとともに,タンパク質をコードしない small RNA (sRNA) が関与する例を, σE 依存性PCDを含めて紹介する.
  • 高田 英昭, 松永 幸大, 福井 希一
    2008 年 46 巻 8 号 p. 557-563
    発行日: 2008/08/01
    公開日: 2011/04/18
    ジャーナル フリー
    細胞分裂の際に遺伝情報を正確に娘細胞へと伝達するには,染色体の分配機構が正しく制御されなければならない.もし,この機構が不完全であるならば,染色体がランダムに分配されてしまう.その結果,分裂後の細胞は遺伝情報に大きな欠陥を生じ,正常な細胞の機能を維持することができず,時には死に至る.染色体を正確に分配するために必要な姉妹染色分体接着を維持する分子メカニズムが最近明らかになってきており,接着維持に関わるタンパク質が大きな注目を集めている.
セミナー室
バイオサイエンススコープ
学界の動き
  • 日本土壌肥料学会に設立された社会・文化土壌学部門
    陽 捷行
    2008 年 46 巻 8 号 p. 582-585
    発行日: 2008/08/01
    公開日: 2011/04/18
    ジャーナル フリー
    漢の時代に劉向の著した『説宛』という書に,孔子の語った「土」に託する想いが記述されているという(1)
    「為人下者,其犹土乎! 種之則五穀生焉,禽獣育焉,生人立焉,死人入焉,其多功而不言」
    「人の下なるもの,其はなお土か! これに種えれば,すなわち五穀を生じ,禽獣育ち,生ける人は立ち,死せる人は入り,その功多くて言い切れない」と読める.孔子はほとんど自然を語っていないが,さすがに土壌の偉大さは熟知していた.
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