ここで取り上げる植物内生糸状菌は,樹木由来の内生菌であり,健康で生きた植物に対して病徴を示すことなく生息している菌類である.熱帯雨林ジャングルから乾燥した砂漠のサボテンに至るまで,様々な植物内部に菌相の異なる内生菌が棲息し,植物と密接に関わって共生している.しかし,樹木の内生菌がどのようにして内部に侵入し,共生し,どのようなことをしているかは詳しくは明らかになっていない.また,いったん,その共生のバランスが崩れると,植物病原菌や腐生菌に変貌するようである.近年,このように詳細がよくわかっていない内生菌類を対象にした生理活性物質の探索研究が国外で活発になりつつある.ここでは,植物内生糸状菌類から分離された,Ca
2+ シグナル伝達阻害活性を有する新物質アンスラコビック酸類とエレモキシラリン類について紹介する.
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