化学と生物
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47 巻, 7 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
巻頭言
今日の話題
解説
  • 寺西 克倫
    2009 年 47 巻 7 号 p. 457-464
    発行日: 2009/07/01
    公開日: 2011/07/14
    ジャーナル フリー
    2008年ノーベル化学賞は「緑色蛍光タンパク質GFPの発見と開発」を対象として,発光するオワンクラゲからGFPを発見した下村 脩 ボストン大学医学校名誉教授,線虫など生体でのGFPの発現に成功したマーティン・チャルフィー コロンビア大学教授,GFPの改良による多色蛍光タンパク質の開発を行なったロジャー・チィエン カリフォルニア大学教授の3氏に与えられた.受賞理由は,GFPが先端生命科学の広い分野において必要不可欠な科学ツールとなり,生命科学の発展に著しく貢献したことが評価されたことにある.ノーベル化学賞選考委員長は,ノーベル賞授賞式の壇上で,下村博士に「下村先生の独自性あふれる発見への軌跡に尊敬の念を抱きました」と日本語で述べられ合掌された.ここではGFPの発見を導いた生物発光の化学的基礎研究,特にその一部ではあるが下村博士の研究を中心に紹介する.
  • 果実の成熟を制御するMADSボックス転写因子RINの分子機能
    伊藤 康博, 北川 麻美子
    2009 年 47 巻 7 号 p. 465-472
    発行日: 2009/07/01
    公開日: 2011/07/14
    ジャーナル フリー
    成熟は果実を食品として利用するための重要なステップであり,成熟の制御は鮮度の維持や品質向上に大きく貢献する可能性がある.成熟期には味覚成分の変化や色素の合成など,様々な代謝反応が同調的に開始,進行するが,これは関連する数多くの遺伝子発現のきわめて厳密かつ精巧な制御によるものであると考えられる.しかし,この制御機構に関してはその重要性に比べて解明が進んでいない.トマトでは成熟過程がまったく進まない突然変異体がいくつかあるが,近年これらの原因遺伝子の単離が相次いで報告されており,成熟開始の制御解明への糸口が見えてきた.
  • べん毛モーターの固定子から考える細菌の環境適応と進化
    伊藤 政博, 寺原 直矢
    2009 年 47 巻 7 号 p. 473-479
    発行日: 2009/07/01
    公開日: 2011/07/14
    ジャーナル フリー
    一般に,好アルカリ性細菌は,プロトン駆動力ではなくナトリウム駆動力を利用してべん毛モーターを駆動し遊泳していると考えられてきた(1).そして,そのエネルギー変換ユニットに当たるNa+ 駆動型の固定子MotPSも同定されていた.しかし,全ゲノム解読が終了した好アルカリ性細菌 Bacillus clausii KSM-K16 株は,MotPSではなく好中性細菌がもつプロトン駆動型の固定子MotABをもっていた.この固定子の機能を解析した結果,通常のゲノムアノテーションだけでは発見できない,この細菌が高アルカリ性環境に適応するためにとった進化戦略を垣間見ることができた.
  • 下村 吉治
    2009 年 47 巻 7 号 p. 480-485
    発行日: 2009/07/01
    公開日: 2011/07/14
    ジャーナル フリー
    分岐鎖アミノ酸(BCAA)はタンパク質構成成分として重要な役割を担っているが,遊離のBCAAの生理作用についても多くの関心が寄せられている.その作用は,生体内の遊離BCAA濃度の上昇により発揮されるので,その分解系の活性により大きな影響を受ける.ここでは,この分解系の特徴について最近明らかにされた知見を含めBCAA代謝の調節機構について解説する.さらに,動物種間の違いやバリン分解系の特徴についても言及する.
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