市街地の土壌・地下水汚染問題に対して,わが国では1980年代半ばより法制度の整備が開始され,土壌・地下水汚染の実態の把握や対策が進められてきた.土壌汚染対策法の施行により市街地土壌汚染問題に対する調査や対策を定められたのが2003年2月であり,法制定時に指摘された課題や法の施行から5年以上が経過する間に浮かび上がってきた課題に対応するために,「土壌汚染対策法の一部を改正する法律」が2009年4月24日に公布され,2010年4月1日に施行された.今後は,改正後の土壌汚染対策法(以下,「改正法」という)の下でわが国の土壌汚染対策が進められることになる.
今回は,土壌汚染対策法改正に至るまでのわが国の土壌・地下水汚染に関わる法制度の変遷と,それらの法制度の下での土壌汚染の顕在化の状況および対策の現状を紹介し,改正法における土壌汚染対策の考え方を概説する.
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