食餌性成分や常在細菌と常時接し,かつ多くの病原微生物の侵入部位となっている腸管には,多種多様な免疫担当細胞が配置されており,免疫の活性化と抑制を巧みに制御している
(1).その中核を担う粘膜免疫の制御においては,サイトカインや接着分子などの生体内分子だけではなく,食餌性成分や常在細菌を由来とする外来性分子も関わっている.粘膜免疫による恒常性維持とその破綻によりひき起こされるアレルギー・炎症性疾患の一因としての食餌性成分や腸内細菌も注目されていることから,生体内分子と外来性分子の両因子を介した制御機構の解明が粘膜免疫学の重要な課題の一つとなっている
(2).ここでは,腸管免疫の制御分子としてのスフィンゴシン一リン酸について,生体内分子と外来性分子の両側面から概説する.
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