化学と生物
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48 巻, 6 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
巻頭言
今日の話題
解説
  • 機能と応用
    西宮 佳志, 近藤 英昌, 坂下 真実, 三浦 愛, 津田 栄
    2010 年 48 巻 6 号 p. 381-388
    発行日: 2010/06/01
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    不凍タンパク質は,過冷却状態の水溶液中に生成する氷結晶の表面に特異的に結合し,その成長を抑制する機能を有する生体物質であり,様々な低温適応生物から様々な性状のものが発見されている.どのようにしてこれらのタンパク質が氷結晶に結合するのか?,不凍タンパク質間にはどのような共通性があるのか?,不凍タンパク質の機能発現機構を理解するための基礎研究に加え,医学や畜産分野をはじめとしてその成果を新しい技術開発に利用しようと実用化研究も進められている.ここでは,不凍タンパク質の氷結晶成長抑制機構に関する最近の研究状況について紹介する.
  • 岩田 誠
    2010 年 48 巻 6 号 p. 389-394
    発行日: 2010/06/01
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    体の中で最大の表面積をもつ腸管では,外界からの異物の侵入に対して免疫細胞の配備が必須である.抗原と出会ったことのないナイーブ・リンパ球は,リンパ節などの二次リンパ系器官にしか移入できない.しかし,小腸を担当する二次リンパ系器官の樹状細胞は,リンパ球に抗原提示する際にレチノイン酸を産生し与えることによって,小腸組織特異的に移入(ホーミング)する能力を刷り込む.一方,腸においては食物抗原に対する免疫反応は抑制する必要がある.レチノイン酸はTリンパ球の機能分化を制御し,免疫寛容の成立にも関与することが明らかになってきた.
  • その細胞内動態と,遺伝子増幅への寄与
    清水 典明
    2010 年 48 巻 6 号 p. 395-401
    発行日: 2010/06/01
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    ゲノム由来の染色体外遺伝因子は,遺伝子増幅を仲介することにより,ヒト細胞悪性化の過程で重要な役割を演じる.そのような遺伝子増幅を培養系で効率よく再現する実験系は,哺乳動物細胞内での遺伝子増幅機構の解明や,自律複製する染色体外遺伝因子の創製,複製開始配列の解析,有用タンパク質の生産系,等々に活用できる.一方,染色体外遺伝因子は動物細胞内できわめてユニークな細胞内動態を示し,排出の対象となることが明らかになりつつある.
  • 小竹 敬久, 円谷 陽一
    2010 年 48 巻 6 号 p. 402-408
    発行日: 2010/06/01
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    植物は活発な細胞壁代謝で生じるガラクトース,グルクロン酸,L-アラビノース,L-フコースなどの単糖を積極的に再利用するために,これらを UDP-糖や GDP-糖に変換する独自の代謝経路を発達させた.ここでは,植物の単糖再利用経路を,特に最近発見されたユニークな機能をもつ酵素に焦点を当てて解説するとともに,UDP-糖代謝経路と GDP-糖代謝経路が互いに独立していることについて,単糖構造の分類をもとに考察する.
セミナー室
「化学と生物」文書館
  • 鍋田 憲助
    2010 年 48 巻 6 号 p. 424-427
    発行日: 2010/06/01
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    日本農芸化学会北海道支部の前身である日本農芸化学会北日本支部は,第二次大戦前の北海道と樺太在住の日本農芸化学会会員を募って発足した日本農芸化学会の支部の一つであるが,支部活動の関係資料はほとんど残されていない.ここでは,帯広畜産大学藤野安彦教授が北海道支部長であった1978年に発行された日本農芸化学会北海道支部設立30周年記念特集中に採録された支部活動の年表と北日本支部細則(草案:写真1)を頼りに,北日本支部発足の顚末についてご紹介したい.併せて,それ以前の60年にわたる北海道地域における農芸化学分野の教育や研究の沿革を記録に残し,戦後の北日本支部の消滅と北海道支部としての再発足時の経緯について述べたい.
農芸化学@High School
  • 廃棄プリントをゴミにしないために
    荒木 桂子, 川上 夢奈, 下田 優衣, 村上 佳子
    2010 年 48 巻 6 号 p. 428-430
    発行日: 2010/06/01
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    本研究は,平成21(2009)年度日本農芸化学会大会(開催地福岡)での第4回「ジュニア農芸化学会」において“優秀賞”に選ばれた.情報科学の進展に伴いペーパーレス化が進む一方で,大量のプリントやシュレッダー紙屑が排出され,その有効な利用法の開発が急がれている.本研究は,廃棄プリントを利用したキノコ生産サイクルを確立することによって,廃棄プリント再資源化の魅力的なシステムを考案したものである.
  • 上野 由美子, 小関 沙織, 米原 希恵
    2010 年 48 巻 6 号 p. 431-433
    発行日: 2010/06/01
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    本研究は,平成18(2006)年度日本農芸化学会大会(開催地京都)から始まった高校生による第1回「ジュニア農芸化学会」において“優秀ポスター賞”を受賞した.育苗用のポットや鉢にはプラスチック製のものが大量に使用されているが,その廃棄が環境問題となるため,生分解性資材を用いた育苗ポットの作製が検討されている.本研究では,産業廃棄物であるオカラを主原料として作製した育苗ポットの有効性を,ポットの寿命維持や肥効性(植物の成長促進効果)の観点から評価している.なお,本研究は,同校の研究である「食用抗カビ性シルクフィルム」(小川ら,講演要旨集 p. 26 : この研究も上記学会で優秀ポスター賞を受賞)とも関連しているため,その結果の一部も本稿に加えた.
海外だより
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