化学と生物
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50 巻, 4 号
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巻頭言
今日の話題
解説
  • 2011年ノーベル医学生理学賞がもたらした知見
    米山 光俊
    2012 年 50 巻 4 号 p. 243-249
    発行日: 2012/04/01
    公開日: 2013/04/01
    ジャーナル フリー
    高等脊椎動物の生体防御を担う自然免疫と獲得免疫.この2つの免疫システムは独自に機能していると考えられてきたが,自然免疫を担う樹状細胞の発見とその機能解析から,自然免疫と獲得免疫が密接に関連・協調して機能していることが明らかになった.また,ショウジョウバエのTollが感染センサーとして機能することが示されたことを発端とした一連の研究により,樹状細胞などによる感染検知と生体防御制御の分子メカニズムが明らかになってきた.これらの発見を対象として,2011年ノーベル医学生理学賞が授与された.ここでは,対象となった発見を中心として,高等脊椎動物における免疫制御について概説する.
  • 下澤 達雄, 穆 勝宇, 藤田 敏郎
    2012 年 50 巻 4 号 p. 250-254
    発行日: 2012/04/01
    公開日: 2013/04/01
    ジャーナル フリー
    塩分摂取により高血圧が発症するメカニズムには遺伝的背景,ホルモン環境,腎機能などが関与することが知られていたが,最近,β2アドレナリン受容体刺激を介してヒストンがアセチル化されることが明らかになり,その結果グルココルチコイド受容体の作用が亢進し,腎臓でナトリウムを再吸収するチャネル (NCC) の発現が亢進することがそのメカニズムの一つであることが示された.得られた成果がエピジェネティクス制御を介した新たな治療法の開発につながることが期待される.
  • 塚越 啓央
    2012 年 50 巻 4 号 p. 255-261
    発行日: 2012/04/01
    公開日: 2013/04/01
    ジャーナル フリー
    植物の成長は植物が生育している周りの環境に強く影響され,環境に応答した植物体内の長期的,短期的なシグナル伝達で制御されている.また,このシグナル伝達は植物のそれぞれ複雑な細胞間コミュニケーションを介して,植物体全体の成長をコーディネートしている.特に根のサイズ決定には根端における細胞の分裂から細胞分化への機能転換の制御が鍵となっている.ここでは,植物根端の植物ホルモンによる細胞機能転換に関わるこれまでの知見に加え,システム生物学を用いた根の転写マップ (RootMAP) から得られた新規の転写因子 (UPBEAT1) を紹介する.
  • 尾間 由佳子, 原田 昌彦
    2012 年 50 巻 4 号 p. 262-268
    発行日: 2012/04/01
    公開日: 2013/04/01
    ジャーナル フリー
    細胞が環境に対応して生命活動を維持するため,また個体が発生分化するためには,DNAに刻まれた遺伝情報を時間的・空間的に適切に選択して発現させることや,ゲノムを安定に維持することが必須である.このようなゲノム機能に中心的な役割を果たすエピジェネティック制御に,細胞核の構造形成や,核構造とクロマチンとの相互作用が関与することが明らかになってきた.細胞核の構造に基づいたエピジェネティック制御機構の理解は,遺伝子発現やDNA修復の制御機構の解明にとどまらず,発生・老化などの高次生命機能や,がんなどの疾病や再生医療においても新規かつ重要な知見をもたらすことが期待される.
  • 加治屋 勝子
    2012 年 50 巻 4 号 p. 269-276
    発行日: 2012/04/01
    公開日: 2013/04/01
    ジャーナル フリー
    血管がギューッと縮んで血流を滞らせる「血管の異常収縮」.脳血管で起これば脳梗塞,心臓の血管で起これば心筋梗塞や狭心症などの引き金となる.命に関わる病気だけではなく,頭痛や動悸,不整脈などの日常で見逃しがちな症状となって現われる場合もある.長年の謎である異常収縮の原因を突き止め,治療法を確立すれば,多くの血管病に苦しむ人を救うことができる.現在,様々な食品から血管病の特効薬成分が探索され,すでにいくつかの候補成分が見いだされつつある.ここでは,受賞テーマである治療薬開発の研究成果を中心として,発症メカニズムの最新動向と食品成分による血管病予防の可能性について解説する.
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