化学と生物
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50 巻, 7 号
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巻頭言
今日の話題
解説
  • 久木田 明子, 菖蒲池 健夫, 久木田 敏夫
    2012 年 50 巻 7 号 p. 488-497
    発行日: 2012/07/01
    公開日: 2013/07/01
    ジャーナル フリー
    破骨細胞は造血幹細胞に由来したマクロファージと近縁の細胞で,生体内で骨吸収を営む唯一の細胞である.近年の研究から,破骨細胞の分化に必須なサイトカインRANKLが発見され,RANKL受容体RANKの下流のFos, NF-κB, NFATc1などの転写因子が破骨細胞の分化で重要な役割をもつことが明らかにされてきた.一方,造血細胞の分化の様々な段階では,その分化決定に関わる転写因子が明らかとなっている.その中の一つOCZF/LRF/FBI-1(旧名Pokemon)は,B細胞や赤血球の分化制御に関わるが,破骨細胞で高い発現があり,破骨細胞分化の後期やアポトーシスの過程においても重要な働きをもつことがわかった.
  • 浦島 匡, 朝隈 貞樹, 福田 健二, 齋藤 忠夫
    2012 年 50 巻 7 号 p. 498-509
    発行日: 2012/07/01
    公開日: 2013/07/01
    ジャーナル フリー
    人乳にはラクトース以外のミルクオリゴ糖が初乳で22~24 g/L,常乳で12~13 g/L含まれ,これまでに115種類もの構造が解析されている.一方でウシでは分娩直後の初乳で1 g/L以上のミルクオリゴ糖が含まれ,そのうちの70%は3'-シアリルラクトースなどの酸性オリゴ糖が占めるが,とくに酸性オリゴ糖の含有量は分娩後48時間以降の乳では急減し,常乳中にはごく少量しか含まれていない.ウシミルクオリゴ糖の構造研究は,含まれる量がごく少量であることが原因でヒトミルクオリゴ糖の構造研究に比べて著しく遅れていたが,近年親水性相互作用高速液体クロマトグラフィーやエキソグリコシダーゼ消化、質量分析の組み合わせによる構造解析方法の進歩によって微量での解析が可能となった.一方で,新たな各ウシミルクオリゴ糖の定量分析方法も開発された.本解説では,ウシを中心とする家畜ミルクオリゴ糖構造研究の歴史的な展開,新たな構造情報や定量分析方法・定量分析値,ならびにウシミルク糖タンパク質糖鎖の解析方法・構造情報を紹介するとともに,将来的な家畜ミルクオリゴ糖やミルク複合糖質の産業面での利用可能性について展望する.
  • 村田 昌之, 加納 ふみ
    2012 年 50 巻 7 号 p. 510-517
    発行日: 2012/07/01
    公開日: 2013/07/01
    ジャーナル フリー
    正常および病態の網羅的マイクロアレイ解析やプロテオーム解析が進み,多数の疾患関連遺伝子やタンパク質が抽出され,その細胞内機能や病態との関連が遺伝子改変マウスなどを用い盛んに研究されようとしている.しかし,その網羅的解析によって抽出される遺伝子・タンパク質の数は膨大であり,創薬・診断研究の現場では,動物個体を使用した前臨床研究におけるコストと時間のパフォーマンスの増大のため,リード化合物のスクリーニングやその副作用・作用機序研究における「細胞アッセイ」の重要性はますます増大してきている.しかし,現行の細胞アッセイの多くは「正常細胞」を使用したものであり,「病態環境」における細胞機能のかく乱の分子解析や,病態状態を示す細胞を利用した創薬スクリーニングを実践することが難しいのが現状である.本総説では,この「病態環境」を再現した細胞アッセイ系として,セミインタクト細胞リシール法を用いて作製した「病態モデル細胞」とその利用法を紹介するとともに,この誕生したばかりのツールの利点と,その克服すべき問題点と今後の展望について概説する.
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