化学と生物
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51 巻, 12 号
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巻頭言
今日の話題
解説
  • 小田 祥久, 福田 裕穂
    2013 年 51 巻 12 号 p. 795-801
    発行日: 2013/12/01
    公開日: 2014/12/01
    ジャーナル フリー
    セルロース微繊維を主成分とした細胞壁の沈着パターンは植物細胞の形態と機能を決める要因の一つである.木部細胞は強固な二次細胞壁を沈着することにより,植物体を力学的に支えると同時に通導組織として機能している.木部組織は木部繊維,原生木部道管,後生木部道管,仮道管などからなるが,それぞれの細胞が特有の二次細胞壁パターンを形成することにより,高度な機能分化を実現している.このような二次細胞壁の沈着パターンは,一次細胞壁と同様にセルロース合成酵素複合体の軌道を制御する表層微小管の配向に大きく依存している.われわれは転写因子を用いた in vitro 木部道管分化誘導系を確立することにより,木部細胞分化における特異的な遺伝子発現解析および機能解析,また,ライブイメージングによるタンパク質の動態,相互作用の解析を実現した.これらの解析手法を用いて,微小管付随タンパク質MIDD1と ROP GTPase が二次細胞壁のパターン形成において重要な役割を果たしていることを明らかにした.本稿ではこれらの研究成果を中心に,木部細胞における二次細胞壁パターンの制御機構に関する最近の知見を解説する.
  • 山田 拓司
    2013 年 51 巻 12 号 p. 802-808
    発行日: 2013/12/01
    公開日: 2014/12/01
    ジャーナル フリー
    ヒトには1,000種,100兆細胞を超える細菌が共生していると言われている.特に腸管内に共生する腸内細菌叢(腸内マイクロバイオーム)は,もう一つの臓器とも呼ばれており,ヒトの健康状態やさまざまな疾病に関与していることが示唆されている.近年,細菌群集を研究する新たな方法として,メタゲノム解析と呼ばれる新たな研究手法が開発され,ヒト共生細菌研究は大きな飛躍を見せている.特に共生微生物研究が医療分野に与える影響とその可能性には大きな期待が寄せられている.本報ではこれまでの研究成果を踏まえ,①メタゲノム解析と腸内マイクロバイオーム,②近年の国内外の動向や発見,③医療との関係,さらに,④実際の応用に向けての可能性,について紹介していきたい.
  • 細胞骨格と形質膜の相互作用による極性の制御
    竹下 典男
    2013 年 51 巻 12 号 p. 809-820
    発行日: 2013/12/01
    公開日: 2014/12/01
    ジャーナル フリー
    糸状菌は,菌糸の先端を伸長させることで生長する.その生長様式は,極性生長の解析に適したモデルであり,糸状菌の病原性や高い酵素分泌能にも関連している.菌糸生長には,菌糸先端での持続的な極性の維持が必要である.その極性を制御するため,菌糸先端の形質膜における位置情報を介して,微小管とアクチン細胞骨格が協調的に機能することが明らかとなってきた.本稿は,糸状菌の細胞骨格と形質膜ドメインの役割を概説するとともに,極性の維持・確立・焦点化・再構築という各々の現象に着目し,極性生長の総合的な理解を目指すものである.
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