化学と生物
Online ISSN : 1883-6852
Print ISSN : 0453-073X
ISSN-L : 0453-073X
51 巻, 4 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
巻頭言
今日の話題
解説
  • 高見 英人
    2013 年 51 巻 4 号 p. 214-222
    発行日: 2013/04/01
    公開日: 2014/04/01
    ジャーナル フリー
    初期生命はいつどんな環境のもとで形作られ,どのようなものだったか? また,この初期生命がどのように進化し,現在私たちの身の回りに数多く存在するバクテリアやアーキアへと進化を遂げたのであろうか? 私たちヒトも生き物である以上,科学者のみならず誰でも共通に抱く疑問であろう.初期生命がもつ機能は単純で地球が本来もつ物理・化学的なエネルギーによって支えられたと考えられている.現在の地球環境にも,初期生命誕生の頃に近い環境が残されているとするならば,初期生命に近い姿を残した微生物が現存するのだろうか? 微生物の多くが難培養性であることはよく知られているが,近年急激に発展しつつあるメタゲノミクスを用いれば,培養に依存せずゲノム情報から初期生命の姿に迫れるかもしれない.本稿では,初期生命進化のシナリオとメタゲノミクスによって最近得られた最も初期生命に近いバクテリアについての知見を紹介する.
  • 陽東 藍, 横越 英彦
    2013 年 51 巻 4 号 p. 223-227
    発行日: 2013/04/01
    公開日: 2014/04/01
    ジャーナル フリー
    摂取した食物が脳内代謝を変動させ,脳機能活動に影響を及ぼすことが多く報告されてきた.これまでにも同様のタイトルでの記述をしており(1),今回は,比較的最新の動向について紹介する.また,脳機能に食品や食品成分がどのような影響を与えるか,それをどのように評価するかについての新しい手法も開発されてきており,食品や食品成分の情動への影響などの脳機能効果がより解明されやすくなった.
  • 鈴木 元治郎, 田中 元雅
    2013 年 51 巻 4 号 p. 228-233
    発行日: 2013/04/01
    公開日: 2014/04/01
    ジャーナル フリー
    プリオンとはタンパク質による遺伝因子のことであり,凝集したタンパク質が自らを鋳型として,可溶性のタンパク質を凝集体へと構造変化させることによって,伝播・感染すると考えられている.哺乳類では狂牛病やスクレイピーなどのプリオン病がプリオンによって伝播すると考えられているが,酵母においてもこれまでに複数のプリオン(酵母プリオン)が見いだされてきた.哺乳類ではプリオン病の病因としての負の面が強調されるプリオンであるが,近年,出芽酵母ではプリオンとなる凝集体を形成する(プリオン化)タンパク質が次々に発見されてきており,酵母プリオンは積極的に何らかの生理的な役割を果たしているという考えが提唱されている.しかし,どのような細胞機能を果たしているか,また,どのような機構で酵母がプリオン化をその細胞機能に利用しているかは不明である.本解説では,酵母プリオンに関する最新の知見とプリオンが果たす生理学的な役割について紹介するとともに,筆者らが発見した新規酵母プリオンによる抗真菌剤耐性獲得機構について紹介する.
  • 乾 隆
    2013 年 51 巻 4 号 p. 234-240
    発行日: 2013/04/01
    公開日: 2014/04/01
    ジャーナル フリー
    ゲノム創薬により生み出される医薬候補化合物は,総じて分子量が大きく,難水溶性である.化学修飾により水溶性を高めることはできるが,薬剤活性が減じられる場合が多い.このような難水溶性薬剤は,前臨床段階で薬剤開発から除外される.本課題に対して技術面で重要な鍵を握っているのが,難水溶性薬剤を可溶化し,標的組織(細胞)まで輸送するとともに,薬剤を効率的に機能発現させることのできるDDS(drug delivery system:薬物送達システム)の開発である.薬理活性の高い難水溶性薬剤を効率的に疾患部に輸送できれば,副作用の少ない治療が可能となり,医薬品開発・創薬分野において新たなブレークスルーとなりうる.本稿では,DDS開発の現状を紹介するとともに,生体内輸送タンパク質であるL-PGDS(lipocalin-type prostaglandin D synthase,リポカリン型プロスタグランジンD合成酵素)と,本タンパク質を利用した難水溶性薬剤に対する新規DDS開発への試みを紹介する.
  • 江口 陽子, 加藤 明宣, 石井 英治, 内海 龍太郎
    2013 年 51 巻 4 号 p. 241-249
    発行日: 2013/04/01
    公開日: 2014/04/01
    ジャーナル フリー
    細菌細胞において,動物細胞と同様に,情報伝達ネットワークの実態が明らかになりつつある.細菌の主要な情報伝達系は,対となるセンサーとレスポンスレギュレータータンパク質からなる二成分制御系 (TCS) である.最近,TCS間をつなぐコネクタータンパク質が発見された.このようなコネクターがTCS間をつなぐことで情報ネットワークが組織され,環境の変化に対応して細菌がより迅速に適応することが可能になっている.本稿では,大腸菌およびサルモネラ菌における新規コネクターを介する情報伝達ネットワークの分子機構を紹介するとともに,TCSのセンサーやレスポンスレギュレーターに直接結合して作用する修飾タンパク質についても解説する.
セミナー室
バイオサイエンススコープ
農芸化学@High School
feedback
Top