化学と生物
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52 巻, 2 号
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巻頭言
今日の話題
解説
  • 宮城 妙子
    2014 年 52 巻 2 号 p. 76-82
    発行日: 2014/02/01
    公開日: 2015/02/01
    ジャーナル フリー
    シアリダーゼは糖タンパク質や糖脂質糖鎖から酸性糖であるシアル酸残基を遊離するExo-型糖分解酵素で,糖鎖分子のコンホメーションや認識機構などを変化させ,多くの細胞機能にかかわっている.哺乳動物細胞には,遺伝子構造,細胞内局在や酵素学的性状が相違する4種が存在するが,これらはがん化で互いに異なった挙動を取り,発現異常を示すことがわかってきた.本稿では,シアリダーゼ異常によってもたらされるがんの糖鎖シアル酸制御の破綻とその意義について,筆者らの研究成果を中心に,この変化ががんの発がん過程や進展にいかに深くかかわっているかを紹介したい.
  • 石井 恵子, 川上 和義
    2014 年 52 巻 2 号 p. 83-90
    発行日: 2014/02/01
    公開日: 2015/02/01
    ジャーナル フリー
    近年の化学療法や移植医療の進歩およびエイズの拡大などを背景に真菌感染症が増加しており,真菌感染に対する生体防御機構の解明が重要な課題となっている.感染防御には,貪食細胞を中心とする自然免疫応答とTヘルパー細胞サブセットのバランスによって形成される獲得免疫応答が総合的に機能する.どのタイプの免疫応答が形成されるかは感染する真菌の種,形態(酵母型や菌糸型),感染部位,宿主の免疫状態によって左右されるが,その過程で重要な働きをするToll様受容体やC型レクチン受容体の役割が動物モデルやヒトの研究から明らかになってきた.
  • スフィンゴ脂質の細胞内恒常性の破綻によって引き起こされるアポトーシス
    梶原 健太郎, 船戸 耕一
    2014 年 52 巻 2 号 p. 91-99
    発行日: 2014/02/01
    公開日: 2015/02/01
    ジャーナル フリー
    細胞を細胞たらしめるもの,それは細胞膜である.細胞膜は細胞の内と外を隔てる境界であり,そこには情報伝達や物質の輸送に関与するさまざまなタンパク質が存在している.また,真核細胞の細胞内に目を移すと,すべてのオルガネラは膜で区画化されており,それによって独立した機能が担保され,さらに高効率な生命現象が実現されている.これら生体膜の主成分である脂質は,生命現象の根幹をサポートしている名脇役であると言えよう.それでは,この生体膜の構成脂質の代謝が異常になると,細胞はどうなるか? 細胞は異常を相補するように代謝をさらに変動させ,異常事態を乗り越えようとする.それでも補えない場合はどうなるか? 答えは想像に難くなく,細胞死に至る.本稿では,脂質の一種スフィンゴ脂質の恒常性の破綻による酵母のアポトーシス細胞死誘導機構を解説する.
  • 芳賀 淑美, 鈴木 匡
    2014 年 52 巻 2 号 p. 100-105
    発行日: 2014/02/01
    公開日: 2015/02/01
    ジャーナル フリー
    糖鎖修飾はタンパク質の主要な翻訳後修飾の一つであり,さまざまな疾患で糖鎖構造の変化がタンパク質の機能変異を引き起こしている例が報告されている.しかし,糖鎖の機能解析は難しく,糖鎖構造の差異が特定のタンパク質の機能に及ぼす影響や病態との因果関係を明らかにすることは既存の方法では困難であるために,多くの分子機構は依然として不明である.そこでわれわれは,特定のタンパク質上の特定の糖鎖構造がタンパク質の動態に及ぼす影響やその分子メカニズムを明らかにするために,蛍光共鳴エネルギー移動 (FRET) の原理を用いた糖タンパク質イメージングツールを開発した.本稿では,われわれの開発した糖タンパク質イメージング法の概要と実例を紹介するとともに,克服すべき問題点と今後の展望について概説する.
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