化学と生物
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52 巻, 5 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
巻頭言
今日の話題
解説
  • 田代 卓哉, 森 謙治
    2014 年 52 巻 5 号 p. 287-294
    発行日: 2014/05/01
    公開日: 2015/05/01
    ジャーナル フリー
    近年,T細胞の一種であるナチュラルキラーT(NKT)細胞の機能が次々と明らかにされている.このリンパ球は糖脂質抗原を認識して活性化され,多種類のサイトカイン産生を行って免疫賦活・抑制両方の反応を誘導することができる.目的とする免疫応答を選択的に誘導させるために,種々の糖脂質抗原を用いた構造活性相関研究が精力的に行われている.また,2012年にはNKT細胞療法による肺がん治療が先進医療Bとして承認された.NKT細胞とはどのようなものなのか,その活性化機構とともに概説する.
  • 大坪 研一, 中村 澄子
    2014 年 52 巻 5 号 p. 295-300
    発行日: 2014/05/01
    公開日: 2015/05/01
    ジャーナル フリー
    米の食味などの品質評価,品種判別および加工利用に関する研究を行った.米の食味を物理化学的に評価する方法として,テンシプレッサーによる1粒炊飯測定方法,RVAによる米の物性および老化性の推定方法および米飯の外観,香り,味,粘り,硬さの各評価を理化学的測定で行った結果を多変量解析することによる食味の多面的理化学評価方法を開発した.米品種の判別方法として,精米を試料として鋳型DNAを抽出精製し,適正なプライマー共存下でPCRを行う方法を開発した.「酵素法」およびその改良法を開発することにより,試料が米飯,米菓,日本酒などの場合においても,PCRによる原料米の判別を可能にした.米の消費拡大を目的として,新形質米を中心に,各種の機能性米加工食品の開発に取り組み,食後血糖上昇の抑制が期待されるアミロペクチン長鎖型の超硬質米の特性解明や用途開発を行った.
  • 構造・代謝と生理作用
    石塚 敏
    2014 年 52 巻 5 号 p. 301-306
    発行日: 2014/05/01
    公開日: 2015/05/01
    ジャーナル フリー
    古くは大腸がん発症,最近ではメタボリックシンドロームとの関係で注目される胆汁酸には多様な分子種が存在し,その生理作用は分子種により大きく異なる.胆汁酸は肝臓で合成され,脂質の吸収に関与する両親媒性のステロイドである.胆汁を介して消化管腔内へ分泌された胆汁酸は,腸内細菌により脱抱合や二次胆汁酸への変換を受ける.胆汁酸は腸内細菌による代謝を受けるだけでなく,胆汁酸の存在が腸内細菌の存在にも影響を及ぼすという相互関係がある.一方で,胆汁酸分子は宿主でのさまざまな代謝調節に関与することが明らかになった.本稿では,胆汁酸の構造と代謝,腸内細菌への作用と食事条件による影響,メタボリックシンドロームなどの病態生理を解析するうえで考慮すべき点などについて概説する.
  • 嶋 盛吾
    2014 年 52 巻 5 号 p. 307-312
    発行日: 2014/05/01
    公開日: 2015/05/01
    ジャーナル フリー
    メタンは強力な温室効果ガスであり,その大気中濃度の変化は地球環境に重要な影響を及ぼすと考えられている.メタン生成古細菌によって嫌気環境で生産されたメタンは,好気環境に拡散し,好気性メタン資化性微生物によって分解されることが知られている.最近の研究により,嫌気環境でも硫酸塩や硝酸塩などの還元反応と共役した代謝により,顕著な量のメタンが酸化分解されることが明らかになってきた.嫌気条件でメタンを酸化する古細菌(嫌気メタン資化性古細菌)は,メタン生成の逆向きの代謝で,メタンをCO2にまで酸化すると考えられている.メタン中のC–H結合を嫌気的に分解することは難しいが,メタン生成古細菌でメタン生産を触媒する酵素(メチル補酵素M還元酵素)が,逆反応でこの反応を触媒する.嫌気メタン酸化によって得られた電子は硫酸塩や硝酸塩に伝達され,エネルギーが保存されるが,その詳細はわかっていない.ここでは,この分野の最近の進展を解説するとともに,メタゲノム情報をもとに嫌気メタン酸化代謝系を考察する.
セミナー室
バイオサイエンススコープ
  • 葛谷 雅文
    2014 年 52 巻 5 号 p. 328-330
    発行日: 2014/05/01
    公開日: 2015/05/01
    ジャーナル フリー
    加齢とともに骨格筋量が減少するが,極度に低下する現象をサルコペニアと称し,高齢者のふらつき,転倒・骨折,虚弱状態との関連で,昨今重要視されてきている.その要因はさまざまな仮説が提唱されているが,栄養,特にタンパク質摂取量の低下が大きな要因として注目され,最近では介入研究も報告されてきている.さらにはビタミンDなどとの関連も最近注目されてきており,今後十分な栄養と適度な運動を励行することにより,サルコペニア予防が期待されている.
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