化学と生物
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53 巻, 5 号
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巻頭言
今日の話題
解説
  • 蔦 瑞樹, 杉山 純一
    2015 年 53 巻 5 号 p. 285-292
    発行日: 2015/03/20
    公開日: 2016/04/20
    ジャーナル フリー
    近年のセンサ技術とコンピュータの進展は,これまで不可能であったことを可能にする.古くから食品の品質を数値化する試みは数多くなされてきたが,「蛍光指紋」を用いることにより,従来は困難とされてきた品質を,迅速かつ簡易に計測することが可能になってきた.蛍光指紋はさまざまな励起・蛍光波長条件下で蛍光強度を計測して得られる等高線状のデータで,感度が高く情報量が多いという特徴をもつ.本稿では,まず蛍光指紋とその計測・解析方法を概説する.後半では,応用事例としてサトイモの産地判別,パン生地中のグルテンとデンプン分布の可視化などを紹介する.
  • 田岡 東, 福森 義宏
    2015 年 53 巻 5 号 p. 293-298
    発行日: 2015/04/20
    公開日: 2016/04/20
    ジャーナル フリー
    高速原子間力顕微鏡(高速AFM)は,生体分子の構造とそのダイナミクスをナノメートルスケールの空間分解能と高い時間分解能で可視化できる.しかも,緩衝液や液体培地などの生理的溶液中で観察を行うことが可能であり,機能中の分子の動きを直接観察することができる唯一の手法である.われわれは,高速AFMを用いて,生きた細菌の外膜表層の構造を液体培地中で観察し,これまで電子顕微鏡などにより静止画像でのみ観察されてきた細菌外膜の構造とそのダイナミクスを捉えることに成功した.本稿では,高速AFMの特徴と研究成果の概略を紹介する.
  • 白河 潤一, 永井 竜児
    2015 年 53 巻 5 号 p. 299-304
    発行日: 2015/04/20
    公開日: 2016/04/20
    ジャーナル フリー
    メイラード反応は食品の加熱調理のみならず,生体内に存在する糖質とタンパク質間でも進行し,その後期生成物であるAGEsは老化や老化関連疾患の発症に関与している.以前AGEsは単なる老廃物として考えられていたが,AGEs化によって生体タンパク質が修飾されることにより,骨格タンパクの変性や,酵素の活性低下,タンパク質発現にも影響を与えると推察されている.そのため,生体AGEsの正確な測定は,病態のマーカーや創薬のターゲットという点からも注目されている.本稿では,生体の代謝・炎症など,さまざまな経路から生成するAGEsの測定法や,これまで明らかとなっている病態との関連性およびAGEs生成抑制物質の探索などについて紹介する.
  • 機能性と潜在的副作用の観点から
    村上 明
    2015 年 53 巻 5 号 p. 305-312
    発行日: 2015/04/20
    公開日: 2016/04/20
    ジャーナル フリー
    ポリフェノールなどのファイトケミカル(phytochemical)は植物の二次代謝産物で多彩な生理機能性を示す化合物群である.近年,ケミカルバイオロジーを基盤とした研究手法の開発によって,これらの標的分子が多数,明らかにされ,作用機構に関する分子レベルの知見が集積されつつある.その一方で近年,私たちは,生体タンパク質に対して非特異的に結合するファイトケミカルの例を見いだし,さらにそれが機能性の発現に寄与するという,ユニークな現象を明らかにしつつある.特異的および非特異的な特性の両面から作用機序を解析することは,「そもそもファイトケミカルがなぜ機能性を示すのか?」という本質的な命題を解く鍵でもあり,また安全性を議論するうえでも重要であると考えている.
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