化学と生物
Online ISSN : 1883-6852
Print ISSN : 0453-073X
ISSN-L : 0453-073X
53 巻, 7 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
巻頭言
今日の話題
解説
  • グルタミン酸ナトリウムの生理機能
    畝山 寿之
    2015 年 53 巻 7 号 p. 432-441
    発行日: 2015/06/20
    公開日: 2016/06/20
    ジャーナル フリー
    和食(WASHOKU)は出汁(だし)のうま味を共通の要素として高度にそして多様に発達してきた.日本の食文化がユネスコ無形文化遺産に認定されたことを含め,日本食のもつ健康価値が改めて世界から注目されている.われわれはうま味調味料グルタミン酸ナトリウム(MSG)の生理機能を先端的脳科学と栄養生理学的な研究手法を用いて追及し,うま味物質は「タンパク質摂取のマーカー」として味覚と内臓感覚を介して摂取したタンパク質の消化吸収にかかわるさまざまな生理機能を賦活し,健康な食生活に寄与している可能性を示してきた.本解説では,うま味の生理機能に注目し,日本食がもつ健康価値の可能性について解説していきたい.
  • 抗酸化反応から成分間反応まで
    本田 沙理, 増田 俊哉
    2015 年 53 巻 7 号 p. 442-448
    発行日: 2015/06/20
    公開日: 2016/06/20
    ジャーナル フリー
    植物は,その生合成経路からさまざまなフェノール成分を蓄積している.それらは植物にとって,たとえばファイトアレキシンのような生物活性を有する物質として古くから研究対象になってきた.一方で,植物性食品におけるフェノール成分は,渋みやえぐみの原因物質とされ,それほど有用な物質とは考えられてこなかったが,フェノール成分が示す多様な機能が徐々に明らかになるにつれて,食品の重要な健康成分として認識されるようになった.今では,5大栄養素と食物繊維についで,第7栄養素といわれることもあり,その化学構造からポリフェノールという名称も定着した.ポリフェノールは,その構造的特徴から生体機能分子であるタンパク質などとの相互作用が起き,食品中のみならず生体系においてもさまざまな機能を発現する.なお,このような従来型の機能発現機構に加え,ポリフェノールの化学反応性の高さに由来する機能があり,これがポリフェノールの特徴ともいえる.本解説では,ポリフェノールの化学反応を基盤にした機能に焦点を当てる.
  • 現状と可能性
    木下 政人
    2015 年 53 巻 7 号 p. 449-454
    発行日: 2015/06/20
    公開日: 2016/06/20
    ジャーナル フリー
    近年,CRISPR/Cas9やTALENなどを用いたゲノム編集技術が急速に進展し,非モデル生物においてもゲノムの改変が容易になった.同様に各生物におけるゲノム情報もますます充実してきている.このような背景の下,ゲノム編集技術は今後,水産業にも大きな影響を及ぼすと考えられる.本稿では,これまでの遺伝子導入技術とゲノム編集技術の違いを述べ,ゲノム編集技術の一つである遺伝子破壊技術を用いた養殖マダイでの育種の試みを紹介する.そして,ゲノム編集技術の水産生物への有効性と可能性,および,今後解決すべき課題について論じる.
  • 清水 浩, 松田 史生, 戸谷 吉博
    2015 年 53 巻 7 号 p. 455-461
    発行日: 2015/06/20
    公開日: 2016/06/20
    ジャーナル フリー
    微生物による有用物質生産を実現するには,代謝を効率よく改良する必要がある.宿主の選定,異なる生物からの遺伝子獲得および導入,不要な遺伝子や代謝経路の削除による生産収率や生産性の変化などについて,予測するための計算機プラットフォームがあれば有意義であろう.また,デザイン指針に基づいて構築した細胞が望みどおりのパフォーマンスを示すかどうか,代謝の流れが達成さているかを実験的に評価することも重要である.13C同位体を標識した化合物を炭素源として細胞内に取り込ませ,13C標識の代謝物質中の濃縮度を観測することで,どの代謝反応が実際に活性化しているかを決定することが可能である.本稿では,このような代謝デザインと13C代謝フラックス解析法の解説とその物質生産への応用について述べる.
セミナー室
プロダクトイノベーション
バイオサイエンススコープ
農芸化学@High School
feedback
Top