近年,循環型社会の構築のため,海洋バイオマスの利活用が重要な課題の一つとなっている.特に,褐藻類の主要な成分であるヘテロ多糖アルギン酸は有望なバイオマスとして期待されている.そのため,アルギン酸資化性細菌を中心に,その分解酵素の研究が盛んに行われているが,細胞内取り込み系はよくわかっていない.菌体外に分解酵素を分泌する多くのアルギン酸資化性細菌とは異なり,
Sphingomonas属細菌A1株はアルギン酸を「超分子」を介して高分子のまま取り込み資化する.最近,「超分子」の主要な構成要素であるABCトランスポーターの立体構造が決定され,その構造的特徴から高分子の輸送を可能にする仕組みがわかってきた.本稿では,多糖アルギン酸の取り込みに機能する結合タンパク質と輸送体およびアルギン酸代謝酵素を中心に,それらの構造基盤について紹介する.
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