化学と生物
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54 巻 , 12 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
巻頭言
今日の話題
解説
  • 仲里 猛留, 坊農 秀雅
    2016 年 54 巻 12 号 p. 873-877
    発行日: 2016/11/20
    公開日: 2017/11/20
    ジャーナル フリー
    次世代シークエンサー(NGS: next generation sequencer)の活躍によって,さまざまな生命科学の謎が解き明かされている.マイクロアレイ同様,NGSから得られるデータも公共データベースに収めることが論文投稿の条件となってきており,そのデータ量は約3.2ペタバイトにもなっている(ペタは10の15乗).これまでよく用いられてきたBLASTなどの配列類似性による検索手段ではもはや歯がたたず,それぞれのデータの付帯情報であるメタデータをたよりに必要な情報を探し出すことになる.膨大なNGSのデータベースから効率よくデータを取り出し,自らの研究に活用する方策を紹介する.
  • 姫野 俵太, 栗田 大輔
    2016 年 54 巻 12 号 p. 878-884
    発行日: 2016/11/20
    公開日: 2017/11/20
    ジャーナル フリー
    リボソーム上のタンパク質合成は開始コドンに始まり,遺伝情報に基づいたペプチド伸長サイクルの繰り返しを経て終止コドンで終了する.翻訳の終了にあたっては,ペプチド解離因子(RF1またはRF2)が合成されたポリペプチドをtRNAから切り離す.しかしながら,さまざまな原因により(場合によっては計画的に)タンパク質合成を途中で中断せざるをえない状況に追い込まれることがある.たとえば,mRNAが翻訳中に切断を受けて3′側を失うと,リボソームは終止コドンに出会うことなしにmRNAの3′末端に到達してしまう.この場合,ペプチドの解離が行われないため,リボソームはそこで立ち往生することになる.こうした状況を解消すべく,細胞はリボソームレスキュー機構(翻訳停滞解消機構)を備えている.細菌のリボソームレスキュー機構として最初に見つかったのはtmRNAとSmpBによるトランストランスレーションである.ほぼすべての細菌はトランストランスレーション機構を必ずもっているが,それ以外にも2つのリボソームレスキュー機構が存在することが明らかになってきた.本稿では,これら3種類を中心に細菌のリボソームレスキュー機構について概説する(図1).
  • 橋本 渉, 丸山 如江, 伊藤 貴文, 髙瀬 隆一, 村田 幸作
    2016 年 54 巻 12 号 p. 885-891
    発行日: 2016/11/20
    公開日: 2017/11/20
    ジャーナル フリー
    近年,循環型社会の構築のため,海洋バイオマスの利活用が重要な課題の一つとなっている.特に,褐藻類の主要な成分であるヘテロ多糖アルギン酸は有望なバイオマスとして期待されている.そのため,アルギン酸資化性細菌を中心に,その分解酵素の研究が盛んに行われているが,細胞内取り込み系はよくわかっていない.菌体外に分解酵素を分泌する多くのアルギン酸資化性細菌とは異なり,Sphingomonas属細菌A1株はアルギン酸を「超分子」を介して高分子のまま取り込み資化する.最近,「超分子」の主要な構成要素であるABCトランスポーターの立体構造が決定され,その構造的特徴から高分子の輸送を可能にする仕組みがわかってきた.本稿では,多糖アルギン酸の取り込みに機能する結合タンパク質と輸送体およびアルギン酸代謝酵素を中心に,それらの構造基盤について紹介する.
  • 久恒 辰博
    2016 年 54 巻 12 号 p. 892-900
    発行日: 2016/11/20
    公開日: 2017/11/20
    ジャーナル フリー
    高齢者の健康寿命を延伸する高機能食品成分の開発に対する期待が一段と高まっている.先進諸国では高齢社会のさらなる進展により糖尿病や高血圧などの生活習慣病の増加に加え,認知症を罹患する高齢者が急増し大きな社会問題となっている.欧米諸国では,食事や食品成分を活用した認知症の予防や進行防止に関する研究が幅広く展開され,多価不飽和脂肪酸(DHAなど)やビタミン類など,複数の高機能食品成分を取り入れた認知症患者に対する栄養療法が始まった.また,認知症予防に適した食事習慣を知るために高齢者を対象とした大規模な疫学研究が実施され,日常的な食生活の改善で認知症発症リスクを低減する食生活習慣の提案が行われている.筆者らは,わが国の高齢者に特有の食生活習慣を考慮に入れて,食品成分による脳老化改善・認知症予防の可能性を探る研究を進めている.食志向の変化により年とともに肉類食品の摂取量が減る傾向にあるため,肉類食品に広くかつ多く含まれ抗酸化・抗炎症作用を有する食品成分であるイミダゾールジペプチドに着目し研究を実施した.筆者らが行った研究から,高齢者において摂取量が減少するイミダゾールジペプチドを顆粒状の食品を介して補うことにより,加齢により低下する記憶機能を改善できることがわかった.モデルマウスを用いた研究から,イミダゾールジペプチドは,認知症予防に対しても効果を有することが期待された.本稿では,高機能性食品成分を用いた認知症予防の可能性について,現状およびその展望を紹介する.
  • 芦田 久
    2016 年 54 巻 12 号 p. 901-908
    発行日: 2016/11/20
    公開日: 2017/11/20
    ジャーナル フリー
    消化管上皮細胞から分泌されるムチンは,消化管における微生物の感染防御,あるいは共生に重要な働きをもつことが知られている.ムチンは,コアタンパク質にO結合型糖鎖が高密度に付加した高分子の粘性糖タンパク質である.難分解性であり,基本的には消化管上皮を保護する機能をもつ生体防御物質であるが,腸内の共生細菌に栄養分と棲息環境を提供する共生因子でもある.ムチンのヘテロ糖鎖を利用するためのビフィズス菌のユニークな代謝経路の解明を中心に,ヘテロ糖鎖がかかわる消化管内の微生物と宿主の相互作用について,最近の研究の進展を基に解説する.
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