化学と生物
Online ISSN : 1883-6852
Print ISSN : 0453-073X
ISSN-L : 0453-073X
54 巻, 1 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
巻頭言
お祝いメッセージ
【特集】2015年ノーベル生理学・医学賞受賞記念特集: 微生物探索研究
  • 小林 達彦
    2015 年 54 巻 1 号 p. 4-6
    発行日: 2015/12/20
    公開日: 2016/12/20
    ジャーナル フリー
  • 岩井 譲
    2015 年 54 巻 1 号 p. 7-9
    発行日: 2015/12/20
    公開日: 2016/12/20
    ジャーナル フリー
    私が28歳のとき北里研究所(北研)で出会ってから今日までご指導をいただいている大村 智北里大学特別栄誉教授との思い出を含め,エバーメクチンの発見と開発について書かせていただく.
  • 高橋 洋子
    2015 年 54 巻 1 号 p. 10-16
    発行日: 2015/12/20
    公開日: 2016/12/20
    ジャーナル フリー
    大村 智先生がノーベル生理学・医学賞を受賞された.天然物探索研究において,常に微生物資源の重要性を説いて下さった先生への深い感謝の気持ちを込めて本拙文としたい.本稿では,エバーメクチン生産菌について触れるとともに,分離方法の工夫や分離源を開拓することによって新しい微生物資源が数多く得られることを述べる.また,物質の探索研究においては生物活性から化合物の物理化学的性状に視点を移すことによって,良く知られた微生物からでも新規化合物の発見が可能であることを紹介し,今後の探索研究の展望について議論する.
  • 池田 治生
    2015 年 54 巻 1 号 p. 17-26
    発行日: 2015/12/20
    公開日: 2016/12/20
    ジャーナル フリー
    本年度の大村,Campbell,屠博士らのノーベル生理学・医学賞受賞の決定によって,天然物医薬品探索および開発の重要性・有用性が再確認されてきた.20世紀末から多くの生物種のゲノム解析が開始され,これまで多くの微生物ゲノムが解読されてきた.これらの中には天然物を比較的よく生産する放線菌も含まれており,それらの中から天然物の生合成遺伝子(群)も発見されてきた.天然物の新たな探索はこれまでの探索方法に加え,ゲノム情報などを総合した新たな天然物の発見,あるいは計画的な非天然型化合物の創製が期待できる状況になってきた.
  • 堀田 国元
    2015 年 54 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 2015/12/20
    公開日: 2016/12/20
    ジャーナル フリー
    大村 智先生が2015年のノーベル医学生理学賞を受賞された.抗生物質生産菌の研究者としては,ペニシリンのフレミング(英,1945年),ストレプトマイシンのワクスマン(米,1952年)に次ぐ3人目の受賞であり,放線菌研究者としてはワクスマンに次ぐ2人目の受賞である.大村先生は,ペニシリンなどのβ-ラクタム抗生物質やストレプトマイシンなどのアミノグリコシドを研究対象としない方針を立て,ロイコマイシン研究に端を発するマクロライドを中心的研究対象として数々の科学的業績を上げられた.そして,「人類への偉大な貢献」と評価されたイベルメクチン開発につなげられた.本稿では,大村先生に先行したエポックメーキングな抗生物質探索研究からの道標を概略的に紹介する.
  • 長田 裕之
    2015 年 54 巻 1 号 p. 32-36
    発行日: 2015/12/20
    公開日: 2016/12/20
    ジャーナル フリー
    2015年のノーベル生理学・医学賞が,微生物および植物由来の天然物を用いた寄生虫病の制圧に対して授与された.最近の医薬品開発では,合成化合物をスクリーニング源とする薬剤探索が主流であるが,今回の大村教授らの受賞は,天然物の重要性を再認識する契機となる.これを機会に,本稿では,天然物スクリーニングの現状を考察し,細胞形態変化に基づくフェノティピックスクリーニングについて,われわれの研究例を挙げながら紹介する.
  • 五十嵐 雅之
    2015 年 54 巻 1 号 p. 37-42
    発行日: 2015/12/20
    公開日: 2016/12/20
    ジャーナル フリー
    3大感染症(エイズ,マラリア,結核)および顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases: NTDs, 17疾患群)は,患者の多くが途上国に偏在するため,先進国で爆発的に蔓延したエイズを除き,長い間新薬研究開発の対象としては顧みられてこなかった.近年,これら3大感染症およびNTDsに対し革新的な新薬をより効率的に開発し蔓延国に供給する目的で,国際機関,各国政府あるいは官民が連携し研究開発の支援組織が発足している(1).この支援のもとで国際的に新薬の開発が進められているが,なかでも天然物からの治療薬探索は有用かつ革新的な新薬を開発しうるアプローチとして大きな期待を受けている.この分野で先駆的な成功を収めた大村らに2015年のノーベル医学生理学賞が授与されることもその期待の表れと言えよう.大村らが発見した放線菌Streptomyces avermitilisの生産するエバーメクチン(avermectin)の誘導体イベルメクチン(2)(ivermectin,図1)が線虫に起因するオンコセルカ症などの治療薬として開発され,またTuらによりマラリア治療薬としてアルテミシニン(3)(artemisinin,図1)が植物成分より単離されいずれも有用性の高い革新的な新薬として使用されている.本稿では,3大感染症の一つである結核の治療薬の開発状況を天然物の視点で紹介したい.
  • 日本医療研究開発機構・創薬支援戦略部・創薬コーディネーターの立場から
    藤江 昭彦
    2015 年 54 巻 1 号 p. 43-47
    発行日: 2015/12/20
    公開日: 2016/12/20
    ジャーナル フリー
    オールジャパンでの医薬品創出実現のため,創薬支援ネットワークの本部機能を担う日本医療研究開発機構(AMED)創薬支援戦略部(iD3)は,アカデミア発創薬シーズの知財戦略および研究戦略の策定,技術支援,企業導出活動を通じて実用化に向けた支援を行っている.本稿では,創薬支援ネットワークおよびiD3の活動状況を紹介するとともに,天然物創薬手法を利用して医薬品を研究開発する場合の課題と今後の展開について創薬コーディネーターの立場から述べる.
  • 一発酵企業の歩みと展望
    有澤 章, 渡辺 東
    2015 年 54 巻 1 号 p. 48-53
    発行日: 2015/12/20
    公開日: 2016/12/20
    ジャーナル フリー
    微生物機能を利用した医薬・化学品製造は社会に多くの恩恵をもたらしてきた.大村北里大学特別栄誉教授のノーベル賞受賞により探索から始まる微生物応用の重要性が世界に発信されるとともに,今後取るべき道への模索がますます注目されることとなった.微生物産業の当事者視点からこれまでの企業活動を振り返り,今後の本分野の発展と社会貢献のためのあり方を考えてみたい.
  • 川崎 寿, 上田 賢志
    2015 年 54 巻 1 号 p. 54-60
    発行日: 2015/12/20
    公開日: 2016/12/20
    ジャーナル フリー
    わが国における微生物探索とその成果に基づいた技術開発は,戦後における産業革命の大きな柱の一つをなした.その源流には,日本に固有の食文化とその根幹をなす伝統醸造における洗練された技術がある.本稿では,和食ならではの「うま味」成分の発見に導かれ,やがて微生物生産の威力を世界に顕示することになるアミノ酸ならびに核酸の発酵生産と,醸造酢の生産に端を発する酢酸およびいくつかの有機酸の発酵生産について振り返る.有用微生物の発見が食品分野をも巻き込んで引き起こすイノベーションのスケールについて,改めて認識を深めたい.
  • 山口 庄太郎
    2015 年 54 巻 1 号 p. 61-64
    発行日: 2015/12/20
    公開日: 2016/12/20
    ジャーナル フリー
    このたび,北里大学名誉教授 大村 智先生がノーベル賞をご受賞された.人類に役に立つ有用物質を微生物から発見されたご功績に対してである.微生物が生産する酵素を日々取り扱っている一研究者として,またそれを生業とする企業に従事するものとして,誠に喜ばしく誇りに思う.またこの授賞が,自然を征服するのではなく自然と共に生きるアジア,とりわけ日本から出たということは必然であったのであろうか.天野エンザイムでは,日々新しい酵素の微生物からの探索を行っている.これまでに土壌や菌株ライブラリーから有用酵素生産菌が見いだされたいくつかの例を,筆者の経験を盛り込みながら,その経緯に焦点を当てて紹介する.また目的の生産菌をできるだけ早く見いだすための菌株ライブラリーの整備についても述べる.
思い出コラム
feedback
Top