食品成分の健康機能性に関する研究が活発に展開されている.とりわけ,食品タンパク質から派生する健康機能性ペプチドに関する研究は,カルシウム吸収促進作用を発揮するカゼインホスホペプチドや血圧降下ペプチドであるラクトトリペプチドなどの比較的初期の成果がよく知られ,教科書などでも食品タンパク質由来の健康機能性ペプチドは,まさに「食品の3次機能」の原点として紹介されている.これは食品タンパク質の機能が生体構成成分の原料獲得などの栄養機能を中心に展開されてきた従来の概念を覆すものである.その後も国内外で多種多様な食品タンパク質由来の健康機能性ペプチドが発見されてきた.一方,多種多様な食品タンパク質由来の健康機能性ペプチドが
in vitroで多数報告されるに至っているが,
in vivoでの作用機構や分子レベルでの理解,ヒトでの有効性の検証などには,いまだに多くの課題を残している.そこで,本稿では,これらの食品タンパク質由来の健康機能性ペプチドのうち,生活習慣病と関連の深い脂質代謝(コレステロール)を中心に,トリアシルグリセロール代謝,糖代謝に影響を及ぼすユニークな作用について,現在の最先端の研究成果とその展望を概説する.
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