化学と生物
Online ISSN : 1883-6852
Print ISSN : 0453-073X
ISSN-L : 0453-073X
54 巻 , 3 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
巻頭言
今日の話題
解説
  • 浦島 匡
    2016 年 54 巻 3 号 p. 159-169
    発行日: 2016/02/20
    公開日: 2017/02/20
    ジャーナル フリー
    単孔類(カモノハシ,ハリモグラ)や有袋類(カンガルー,ポッサム,コアラなど)の乳では,多くの有胎盤類(ヒト,ウシなど)とは異なり,ミルクオリゴ糖の方がラクトースよりも優先的である.有胎盤類の乳仔がラクトースを主要なエネルギー源としているのに対し,単孔類や有袋類の乳仔はミルクオリゴ糖をピノサートーシスかエンドサイトーシスで小腸細胞内に取り込み,リソソーム内のグリコシダーゼの働きで単糖に分解し,エネルギー源とする.単孔類のシアル酸含有ミルクオリゴ糖に付加するN-アセチルノイラミン酸は,4位がO-アセチル化した固有の形をしているが,そのことで細菌の生産するノイラミニダーゼへの加水分解抵抗性を付与する.それには乳首がなくて皮膚の上に乳を分泌する単孔類において,乳が細菌の増殖源にならないメカニズムが潜んでいる.単孔類や有袋類の固有のミルクオリゴ糖には,それらの繁殖戦略や子育て戦略との密接なかかわりがある.
  • 松下 陽介
    2016 年 54 巻 3 号 p. 170-175
    発行日: 2016/02/20
    公開日: 2017/02/20
    ジャーナル フリー
    ウイロイドは最小の植物病原体であり,動物細胞からは検出例がないマイナーな存在である.また,環状のnon-coding RNA(ncRNA)という独特の構造である点においても特異な存在であった.しかしながら,近年,ncRNA, さらには200塩基以上のlong non-coding RNA(lncRNA)に関する研究が進展し,それらの生体内における役割や動態についても明らかとなっている.また,環状lncRNA(circRNA)が動物細胞から大量に見つかり,それらの役割についても明らかになりつつある.今後はウイロイドがマイナーな存在ではなく,自律複製能をもったcircRNAとして着目されることを期待したい.
  • 吉田 英樹, 上口(田中) 美弥子
    2016 年 54 巻 3 号 p. 176-180
    発行日: 2016/02/20
    公開日: 2017/02/20
    ジャーナル フリー
    植物ホルモンとは光やストレスなどの環境要因に適応するように植物の成長を制御している物質である.その植物ホルモンの一つであるジベレリン(gibberellin; GA)は植物細胞の伸長や,種子の発芽,開花などの多様な発達過程の制御を司っている.GAの生理作用はDELLAタンパク質と呼ばれる植物固有の転写因子様タンパク質によって抑制されており,このDELLAがGA依存的に分解されることでGAの生理作用が誘導されることがわかっている.これまでの研究によりDELLAがどのように分解されるのかについては,かなりの部分が明らかになっているのに対し,DELLAがどのように機能しているのかについてはいまだ明らかになっていない部分が多い.本稿では,まずGAシグナルとその抑制因子DELLAについての概略を説明し,その後,現在提唱されているDELLAの2つの主な作用機序について具体例を挙げつつ解説する.特に最近筆者らを含め多くの研究者によってその存在が確かなものになった転写活性化因子としての作用に焦点を当てる.
  • 松本 光史
    2016 年 54 巻 3 号 p. 181-190
    発行日: 2016/02/20
    公開日: 2017/02/20
    ジャーナル フリー
    日本における微細藻類からのバイオ燃料・原料用オイル(以下,グリーンオイル)生産技術開発については,平成20年頃から注目され始め,現在世界中で検討が進められている.微細藻類から生み出されるグリーンオイルは,さまざまな用途に使え,CO2削減効果や持続的可能社会へ貢献などさまざまなメリットが期待されている.一方で,多くの利点を有するグリーンオイルを学術的研究から実用化へ導くには,①候補株の屋外大量培養技術,②培養からオイル抽出までの一貫プロセスの構築,③低エネルギー,低コスト化,④大規模化に伴う運用ノウハウの取得など,数多くのエンジニアリング的視点が必要になる.電源開発株式会社(以下,J-POWER)では,平成15年から海洋微生物を中心に微生物コレクションであるJ-POWER Culture Collection(以下,JPCC)を構築(http://oceanquest.jp)し,バイオテクノロジー研究を開始した.J-POWERの微細藻類研究はグリーンオイル生産技術開発に必要な候補株をJPCCから検索することから始め,その後,見いだした候補株のラボレベル試験による藻体,グリーンオイル生産性などの特性・評価を行った.さらにその成果を反映し,屋外におけるベンチレベル試験,パイロット試験について,公的資金(JST-CREST, NEDO)を有効に活用しながら進めてきた.現在,3,000 m2の敷地を利用したグリーンオイル一貫生産プロセスを検討するまでに至っている.今回,微細藻類からのグリーンオイル生産技術の研究開発について,筆者らの取り組みを紹介しながら,グリーンオイルのバイオ燃料・原料生産技術や有用資源としての“理想と現実”も含め解説したいと考えている.また,本稿が皆様の検討の一助になること,また,このような機会を与えていただいた日本農芸化学会に対しこの場を借りて感謝申し上げたい.
セミナー室
プロダクトイノベーション
バイオサイエンススコープ
追悼
農芸化学@High School
feedback
Top