化学と生物
Online ISSN : 1883-6852
Print ISSN : 0453-073X
ISSN-L : 0453-073X
54 巻, 6 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
巻頭言
今日の話題
解説
  • 哺乳動物における新基質の発見
    大嶋 紀安, 中村 美奈子, 矢中 規之
    2016 年 54 巻 6 号 p. 387-395
    発行日: 2016/05/20
    公開日: 2017/05/20
    ジャーナル フリー
    細菌におけるグリセロホスホジエステラーゼは,グリセロリン脂質の二つの脂肪酸が切断された水溶性代謝物であるグリセロホスホジエステルを分解することでグリセロール3-リン酸を獲得し,リンや炭素の栄養源としての利用において重要な役割を担う.一方,酵母,植物,線虫,哺乳動物においてもグリセロホスホジエステラーゼが同定されたが,哺乳動物においてはグリセロホスホジエステル以外の基質も発見され,多彩な生理的役割が明らかにされている.グリセロホスホジエステラーゼの酵素タンパク質としての分子進化上の特徴,さらに哺乳動物における生理機能の新展開について紹介する.
  • 谷口 正輝
    2016 年 54 巻 6 号 p. 396-402
    発行日: 2016/05/20
    公開日: 2017/05/20
    ジャーナル フリー
    電流を用いる1分子シークエンサーは究極のシークエンサーと期待されている.この1分子シークエンサーは,1分子の電気抵抗の違いを電流で直接読み出すため,色素修飾や酵素反応を必要としない.現在,DNAとRNAの塩基配列決定と,ペプチドの部分アミノ酸配列決定に加え,エピジェネティック修飾や翻訳後修飾の1分子識別が実現されている.さらに,これまでのDNAシークエンサーにはない特徴的な機能として,配列決定と同時に,その配列をもつ生体分子の存在比がわかる定量解析の可能性が示されている.本稿では,1~3世代目のシークエンサーと比較しながら,4世代目となる1分子シークエンサーの現状と可能性について解説する.
  • 広瀬 侑, 池内 昌彦
    2016 年 54 巻 6 号 p. 403-407
    発行日: 2016/05/20
    公開日: 2017/05/20
    ジャーナル フリー
    酸素発生型の光合成を行う原核生物であるシアノバクテリアは,周囲の緑色と赤色の光のバランスを感知して光合成アンテナの組成を調節する.補色順化と呼ばれるこの現象は光合成機能の光質による調節の代表例として知られていたが,光色感知機構の実態は長らく不明であった.われわれは補色順化を制御するフィトクロム様光受容体の同定と解析に成功し,色素のプロトン脱着を介した新奇の緑・赤色光感知機構の存在を明らかにした.
  • シロイヌナズナの発展型トランスクリプトームデータ解析ツール
    筧 雄介, 嶋田 幸久
    2016 年 54 巻 6 号 p. 408-415
    発行日: 2016/05/20
    公開日: 2017/05/20
    ジャーナル フリー
    本稿では進歩し続けているトランスクリプトーム解析を取り巻く現状と,関連する解析ツールについて紹介する.なかでも,モデル植物のシロイヌナズナのトランスクリプトーム解析用にわれわれが最近開発しウェブ上で提供しているAtCAST(http://atpbsmd.yokohama-cu.ac.jp/)について詳しく解説する.近年ではトランスクリプトームデータ同士や各種オミクスデータなどを合わせてさらに解析するなど,発展型トランスクリプトーム解析ツールの開発が盛んである.AtCASTはこのような発展型トランスクリプトーム解析ツールの一つであり,基本的な統計解析に引き続いてGOE解析やMCN解析といったトランスクリプトームデータの解釈を助ける解析をまとめて行うツールである.
セミナー室
バイオサイエンススコープ
生物コーナー
feedback
Top