化学と生物
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55 巻, 2 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
巻頭言
今日の話題
解説
  • 持続可能な第三世代バイオ燃料生産の最前線
    日原 由香子, 朝山 宗彦, 蘆田 弘樹, 天尾 豊, 新井 宗仁, 粟井 光一郎, 得平 茂樹, 小山内 崇, 鞆 達也, 成川 礼, 蓮 ...
    2017 年 55 巻 2 号 p. 88-97
    発行日: 2017/01/20
    公開日: 2018/01/20
    ジャーナル フリー

    化石燃料に代わるエネルギー源の確保が課題とされる昨今,光合成効率が高いシアノバクテリアや藻類を用いた燃料生産は,食糧生産と競合せず,カーボンニュートラルである点で注目を集めている.特にシアノバクテリアは,ゲノムや細胞の構造が単純で遺伝子操作が容易,増殖が速い,光合成能が高いなど,燃料生産ホストとして有利な性質を備えている.本稿では,多様性に富むシアノバクテリアのさまざまな性質を活かして,燃料生産技術の開発に取り組んだ最新の成果について解説する.

  • 雑草ネコジャラシはどのようにして雑穀アワになったのか?
    福永 健二
    2017 年 55 巻 2 号 p. 98-104
    発行日: 2017/01/20
    公開日: 2018/01/20
    ジャーナル フリー

    いわゆる「雑穀」の中で,アジアの農耕文化の歴史において重要な役割を果たし,なおかつ最近のゲノム研究で注目されているのが,アワ(Setaria italica (L.) P. Beauv.)である.本稿では,筆者らの研究グループが行っているアワの地方品種群の系統解析の結果と,人為選択や自然選択にかかわる2つの遺伝子の進化遺伝学的研究について紹介したい.また,ゲノムシークエンスを用いた今後の研究の展望についても触れたい.

  • ゲノム研究はコムギ研究とともに始まった
    半田 裕一
    2017 年 55 巻 2 号 p. 105-112
    発行日: 2017/01/20
    公開日: 2018/01/20
    ジャーナル フリー

    コムギは,全世界の耕地の16%に相当する2億1,800万ヘクタールで栽培され,その生産量は年間約7億トンにも及び,イネやトウモロコシとともに世界の三大穀物として,私たちの食料基盤を支えている.また,トウモロコシやイネよりも多くのタンパク質を含むことから,多くの国で最も重要な植物タンパク質源となっている.一方,コムギは遺伝学の材料として古くから利用されてきており,今日,一般的に使われるようになった「ゲノム」という言葉は,コムギと深い関係にある.しかし,コムギゲノム自体は,ヒトゲノムの5.7倍の17 Gbもあり,異質6倍体ということと相まって,その解読は進んでいなかった.本稿では,コムギとゲノム研究のかかわりを解説しながら,現在進められているコムギのゲノム解読の現状を紹介する.

  • 微生物共生体における窒素からアンモニアへの変換
    前田 勇
    2017 年 55 巻 2 号 p. 113-118
    発行日: 2017/01/20
    公開日: 2018/01/20
    ジャーナル フリー

    窒素からアンモニアを合成する化学的窒素固定は高温・高圧下で行われ生成物は肥料原料となる.一方,常温・常圧の温和な条件下で進行する生物学的窒素固定は細菌のニトロゲナーゼにより触媒される.ニトロゲナーゼは酸素やアンモニアにより負の制御を受ける.このため特定の細菌は自然環境下での窒素固定を可能にする阻害回避機構をもつ.一方,独自の阻害回避機構をもたない細菌の窒素固定は嫌気環境などで限定的に行われるため,そのような細菌の一般環境下での窒素固定を可能にすることは持続的な肥料生産を考えるうえで有益であろう.そこで共生微生物の助けを借りて,細菌に自然環境下での窒素固定を行わせるための取り組みについて紹介する.

  • ヒアルロン酸代謝研究の新展開
    吉田 浩之
    2017 年 55 巻 2 号 p. 119-127
    発行日: 2017/01/20
    公開日: 2018/01/20
    ジャーナル フリー

    ヒアルロン酸は,哺乳動物の細胞外マトリックスに広く存在するグリコサミノグリカンの一つであり,その最大の特徴は速い代謝回転にある.これまで組織におけるヒアルロン酸分解機構として,HYAL/CD44依存的なヒアルロン酸分解モデルが定説となっていたが,このモデルでは生体内のダイナミックなヒアルロン酸のターンオーバーを説明するには十分ではなかった.そこで,皮膚線維芽細胞のヒアルロン酸分解を担う分子の包括的な探索により,新たに見いだされたヒトHYBID(KIAA1199)依存的なヒアルロン酸分解機構に関し,その特性や調節機構も含め,生理的なヒアルロン酸代謝や病態における過剰なヒアルロン酸分解へのかかわりなど最近明らかになった知見をまとめて解説する.

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