化学と生物
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56 巻 , 8 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
巻頭言
今日の話題
解説
  • 菊池 慶実, 松田 吉彦
    2018 年 56 巻 8 号 p. 528-534
    発行日: 2018/07/20
    公開日: 2019/07/20
    ジャーナル フリー

    医薬品や産業用酵素として利用されているタンパク質は,全世界で約20兆円程度の市場を有しており,その市場は年々伸びている.また産業用途のみならず,研究用試薬やタンパク質構造解析などの基礎研究のために必要とされるタンパク質も多く存在している.そのような背景のため,タンパク質を効率良く発現・生産する手段は,私たち人類のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)を向上させるために必要と考えられ,これまでには,大腸菌,バチルス属細菌,その他細菌,カビ,酵母,動物細胞,in vitroタンパク質翻訳系,さらには動物個体を利用した,多くのタンパク質発現・生産系が開発されてきた.しかしながら,あらゆるタンパク質を効率良く発現・生産できるような万能のタンパク質発現・生産系はこれまでに存在しておらず,効率的に発現・生産することができないタンパク質が,いまだ多く存在しているのが現状となっている.われわれは,このような問題を少しでも解決し,産業,科学の発展,そして人々のQOL向上に少しでも貢献できるような,新たなタンパク質発現・生産系の開発を行ってきた.

  • 西村 三恵
    2018 年 56 巻 8 号 p. 535-540
    発行日: 2018/07/20
    公開日: 2019/07/20
    ジャーナル フリー

    機能性食品は生体の生理機能を調整する働きをもち,その科学的根拠を有する食品である.わが国においては1991年に効能効果を表示できる食品として国が個別に許可した「特定保健用食品」と国の規格基準に適合した「栄養機能食品」が制度化した.さらに2015年には「機能性表示食品」制度が施行された(1).この制度では,機能性の評価として「最終製品を用いた臨床試験」または「最終製品または機能性関与成分に関する研究レビュー」が必要となる.このような背景から,食品の機能性については細胞実験や動物実験だけでなく,ヒトでの検証が必要となってきており,北海道情報大学健康情報科学研究センター(江別モデル)における食品の臨床試験の依頼も増加している(2).本稿では,本学のこれまでの経験をもとに,食品の臨床試験の方法や解析について解説する.

  • 藤原 亜希子, 𡈽田 努
    2018 年 56 巻 8 号 p. 541-549
    発行日: 2018/07/20
    公開日: 2019/07/20
    ジャーナル フリー

    既知生物種の過半数を占める昆虫類は,種数・個体数ともに最大のグループであり,生物多様性の根幹を担う存在である.この多様性進化の原動力の一つが,細菌との共生関係である.昆虫の生存や繁殖能力,体色,食性などのさまざまな性質に対して,共生細菌が多大な影響を与えている例がこれまでに多数報告されている.昆虫体内で独自の進化を遂げた共生機構は,学術的に興味深い現象であるとともに,応用分野への発展も期待される(1).本稿では,共生細菌の殺虫剤効果への影響,共生細菌が作る生理活性物質,Wolbachiaを用いた応用研究例,加えて現在私たちが取り組んでいる共生機構を標的とした害虫防除法の開発について紹介し,今後の共生研究の応用可能性について述べる.

  • 赤壁 善彦
    2018 年 56 巻 8 号 p. 550-557
    発行日: 2018/07/20
    公開日: 2019/07/20
    ジャーナル フリー

    筆者は,山口大学農学部に着任して24年目となり,「香り」をテーマとして研究を続けている.香りを分子で捉え,有機化学的な観点から究明している.今回は,基礎的な研究ではなく,農芸化学と香料化学の融合的な研究内容とその実践的活用例を紹介したい.すなわち,香りのヒトに対する効果の検証例をもとに実践的な活用法の提案と,地域の要望を受け取り組んだ香りに注目した新食材や食品の開発例の,食べると柑橘の風味が広がる「柑味鮎(かんみあゆ)」,香りに特徴のある「山口大学スイーツ」,山口県の新たなソウルフードを目指した「山口餃子」を紹介する.

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農芸化学@High School
  • 勝野 浩志, 野村 真愛, 平林 功多, 若尾 岳登, 藤本 千夢, 柘植 千佳, 長谷川 雄登, 竹腰 和真, 山本 忠輝, 貝川 太亮
    2018 年 56 巻 8 号 p. 581-583
    発行日: 2018/07/20
    公開日: 2019/07/20
    ジャーナル フリー

    本研究は,日本農芸化学会2018年度大会(開催地:名城大学)における「ジュニア農芸化学会」で発表された.外来特定生物であるアルゼンチンアリについて,種特異的に有効な道しるべフェロモンに着目し,誘引捕獲による「大量誘殺」法の開発を目的とした.アリのフェロモンと採餌行動の関係を明らかにする実験では,「腹ペコアリ」はフェロモン軌跡を「巣」から「エサ場」に,「満腹アリ」はその逆にたどることを明らかにした.続いてフェロモントラップの作成に進み,ろ紙とペットボトルを加工した蟻地獄型容器がアリの捕獲に最適であること,また道しるべフェロモンを誘引だけでなく,正規航路のかく乱にも有効であることを見いだした.これらは,新規なフェロモン農薬の開発にもつながる独創的かつ画期的な結果として,学会から高く評価された.

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