化学と生物
Online ISSN : 1883-6852
Print ISSN : 0453-073X
ISSN-L : 0453-073X
57 巻, 5 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
巻頭言
今日の話題
解説
  • 澱粉生合成研究の発達史
    中村 保典
    2019 年 57 巻 5 号 p. 270-278
    発行日: 2019/05/01
    公開日: 2020/05/01
    ジャーナル フリー

    澱粉生合成研究は,大きな転換点にある.本分野はおよそ1990年以降から今日までに大きく発展したので,平成は生合成過程に関する膨大で最も重要な基礎情報が蓄積された時代として記憶されるであろう.変異体の解析により,主要酵素の役割が明確になった.遺伝子構造が解析され,発現パターンが調べられる時代を経て,全ゲノム解析の時代が到来し,全候補遺伝子の構造および発現情報が比較的容易に得られるようになった.これは,30種類以上の酵素アイソザイムが関与する澱粉合成過程全体の枠組みが明らかになったことを意味する.本稿では,わが国で最も詳細に研究されたイネの澱粉生合成過程を中心に,今日に至る研究の潮流を概説する.

  • お年寄りが飲みやすい食品とは?
    熊谷 仁, 秋間 彩香, 谷米(長谷川) 温子, 二宮 和美, 熊谷 日登美
    2019 年 57 巻 5 号 p. 279-288
    発行日: 2019/05/01
    公開日: 2020/05/01
    ジャーナル フリー

    嚥下困難者用介護食としては,①べたつきにくく,②口腔内や咽頭部でまとまりやすいものが適するとされ,ゲル化剤や増粘剤を添加したものが多い.“べたつき”や“まとまりやすさ”はよく,TPA(Texture Profile Analysis)から求められる付着性や凝集性で評価される.われわれは以前,本誌に「高齢者が誤嚥しにくい介護食の物性」というタイトルの総説を寄稿した(1).そこでは,食品の力学物性と咽頭部の食塊の流動性の関係を概説し,TPA, 特に凝集性の問題点について物理的視点から考察した.今回は,その後得られた知見も踏まえ,食品の“まとまりやすさ”,嚥下困難者が誤嚥しにくい食品の力学物性について論じる.

  • 動物毒は,どのように進化してきたのか?
    小川 智久, 柴田 弘紀
    2019 年 57 巻 5 号 p. 289-295
    発行日: 2019/05/01
    公開日: 2020/05/01
    ジャーナル フリー

    35億年あまりの永い進化の産物である地球上の多種多様な生物.それらのなかには「毒素」という武器をもつ生物も存在します.これらの毒生物は,どのように進化して毒をもつに至ったのでしょうか? 近年ゲノム解析技術の進展により,モデル生物以外のゲノムも解析することが可能となり,生物進化を読み解くための一つの重要なツールとなっています(1).毒動物のゲノム解読や個々の毒成分の全容をプロテオームやトランスクリプトーム解析により明らかにする「ベノミクス研究」も進められてきました.ここでは,毒蛇ハブのゲノム解読を中心に,「ベノミクス研究」の最前線について解説します.

セミナー室
トップランナーに聞く
  • 海老原 隆
    2019 年 57 巻 5 号 p. 317-325
    発行日: 2019/05/01
    公開日: 2020/05/01
    ジャーナル フリー

    産業活性化のカギとしてスタートアップ企業を支援する動きが国内外で活性化しており,スタートアップに興味をもつ学生や研究者も増えてきたのではないかと思われる.とはいうものの,起業化した後に関する情報がかなり不足しているといった感も否めない.今回のインタビューでは創薬支援型ベンチャーとして成功されているジーンフロンティアの最高執行責任者である海老原 隆さんをお招きし,立ち上げから現在までのご経験や,どうやってビジネスの形にするかといったことへのアドバイス,学生へのメッセージなどを,幅広い視点からわかりやすくお話しいただいた.

feedback
Top