化学と生物
Online ISSN : 1883-6852
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58 巻, 9 号
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巻頭言
今日の話題
解説
  • イナワラの高効率糖化酵素としてのイナゴ腸内酵素の探索
    伊藤(山谷) 紘子, 長谷川 功
    2020 年 58 巻 9 号 p. 505-510
    発行日: 2020/09/01
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル フリー

    イネによる土壌浄化(ファイトレメディエーション)の実施が実用化されつつあるが,その結果生じる重金属や放射性物質などの汚染物質を含むイナワラは,産業廃棄物として焼却処分されることとなる.筆者らは,これらイナワラのバイオエタノール化を目指してイナワラの糖化研究を行っている.イナワラの糖化酵素の探索に際して,筆者らはイネの害虫であるイナゴがイネ茎葉を常食することに着目し,その腸内酵素を中心に研究を進めている.本稿では,前処理なしのイナワラの糖化にイナゴ腸内酵素が非常に有用であることや,イナワラ糖化におけるイナゴ腸内共生菌の役割なども含め,最近の研究成果を中心に概説したい.

  • 硫酸転移酵素の多種多様な生理機能
    黒木 勝久, 橋口 拓勇, 榊原 陽一
    2020 年 58 巻 9 号 p. 511-519
    発行日: 2020/09/01
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル フリー

    生体内に存在する遊離の硫酸イオン(SO42−)は生体外異物や内在性ホルモン,タンパク質などさまざまな生理活性物質の機能制御に役立っている.硫酸基を生理活性物質に付加する役割をもつ硫酸転移酵素は大腸菌などの細菌から,真菌類,植物,魚類,哺乳動物など生物界に広く存在している.特に,植物モデルであるシロイヌナズナや魚モデルであるゼブラフィッシュ,哺乳動物モデルであるマウスおよびヒトでの研究が精力的に行われてきている.本稿では硫酸転移酵素の種特異的な機能や普遍的な機能に関して概説するとともに,植物,魚類,哺乳類における硫酸転移酵素の最近の知見を紹介する.また,最近発見されたα,β-不飽和カルボニルを標的とする第3の硫酸化反応に関しても紹介する.

  • 糖やアミノ酸の取り込み装置を制御して病気を治す
    永森 收志, 森山 理美, パッタマ ウィリヤサムクン
    2020 年 58 巻 9 号 p. 520-528
    発行日: 2020/09/01
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル フリー

    薬物の標的のうち,70%ほどが膜タンパク質であるとされており,さらに近年はこれまでは研究の難しかった膜輸送体,特にトランスポーターが,新しい創薬標的として注目を集めている.生命の根源である物質の不均衡分布はトランスポーターやチャネル,ポンプといった膜輸送体が司っている.たとえば,細胞はその機能を維持するために,トランスポーターによって外部から糖やアミノ酸といった栄養素を取り入れる.こうした栄養素トランスポーターを標的とした創薬研究について,基礎から応用までを紹介する.

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