多くの植物病原性微生物は宿主特異性をもち,決まった植物(宿主植物)に対してのみ感染が成立する.これまでの研究では,侵入してきた病原菌に対して植物が菌の侵入の妨害に成功すれば感染が不成立,失敗すれば感染が成立という植物を主体とした植物ー微生物相互作用のストーリーが描かれていた.これに対して,著者はこのストーリーが始まる前に(擬人法的な表現ではあるが)菌が感染相手の植物を選んでいるのではないかと考えた.では,どのようにして菌が「好ましい」感染相手を認識するのか.人間であれば視覚などで相手を認識できるが,菌の場合はおそらく化学物質か機械刺激で相手を認識しているのではないかと考えた.もしそうであれば,菌の感染を促進する植物由来の化学物質等とそれを認識する菌側の機構(センサー等)の組み合わせがあるはずである.本稿では,植物病原性糸状菌が認識する植物因子と植物因子により誘導される菌の感染機構について解説する.
各種ナノファイバー(NF)や細胞外マトリクス(ECM)をプラスチックシャーレにコートしたところ,β-キチンNFのみでは細胞接着性が認められなかったが,ECMにより接着性が回復した.機能性食品を評価する臓器チップの製造を念頭に,3D CADと3Dプリンタによりマイクロ流路の樹脂型(モールド)を成形し,ポリジメチルシロキサン(PDMS)樹脂を流し込んでマイクロ流路の上部を試作した(デジタルモールド技術).マイクロ流路上部を上記シャーレに圧着してマイクロ流路を成形し,細胞を灌流培養したところ,上記のECM/NF塗布シャーレで得られた細胞接着試験結果に合致した細胞接着性が,マイクロ流路内のECM/NF重層部分でも確認できた.