化学と生物
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62 巻, 11 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
巻頭言
今日の話題
解説
  • 生体部位を光らせ手術をナビゲート
    寺西 克倫
    2024 年62 巻11 号 p. 526-533
    発行日: 2024/11/01
    公開日: 2025/11/01
    ジャーナル フリー

    医療の場では,医師の視診や触診ができない病態を診断薬や診断機器を用いて判断する.体への負担が低い・医療費用が低い・精度が高い,などの診断を目指し,診断薬や診断機器は日々進歩している.診断薬の開発は化学と医学の融合によって,診断機器の開発は工学と医学の融合によって行われる.本解説では,前者に関連する「医療,特に手術における近赤外蛍光生体イメージング診断の現状と将来」を化学の面から述べる.「化学と生物」を読まれる皆さんの多くは農芸化学分野の方と思われ,医療には直接関与されないかもしれないが,すでに化学を専門とされている方やこれから化学を志す方に興味を与え,本稿が有意義なものとなれば幸いである.

  • 動物の子育て方法によるミルク成分組成の違い
    浦島 匡, 峯口 祐里, 荒蒔 祐輔
    2024 年62 巻11 号 p. 534-542
    発行日: 2024/11/01
    公開日: 2025/11/01
    ジャーナル フリー

    哺乳類のミルク成分組成(脂質,タンパク質,糖質,灰分の濃度割合)には種による著しい違いがあるが,その生理的な要因として,出生時の発達段階(母の体重に対する新生子の体重の割合),出生後の成長速度,一回の分娩で出生する子の数,動物の生息環境(陸棲か海棲か,乾燥地か湿潤地かなど)が挙げられる.一方,ミルク成分組成値と母による授乳行動の観察から,近縁の亜目内に分類される種間でも子育て方法の違いによるそれらの特徴的な違いの事例が報告された.本稿で,京都市動物園でのアメリカバクなどいくつかの動物の授乳行動の観察例を紹介しながら,ミルク成分組成に影響する動物の繁殖生理や子育て戦略への理解を深める.

  • 葉緑体からクロモプラストへの分化とカロテノイドの関係
    本橋 令子, 小久保 祥子
    2024 年62 巻11 号 p. 543-549
    発行日: 2024/11/01
    公開日: 2025/11/01
    ジャーナル フリー

    トマト果実は,緑色の未成熟果実から成熟に伴い黄色,オレンジ,赤色へと変化し,クロロフィルが分解され,カロテノイドが蓄積する.果実成熟は,代謝産物の変化だけでなく,細胞内のプラスチドも変化し,緑色の未成熟果実細胞ではプラスチドはクロロプラスト(葉緑体)の形態であり,クロロフィルを多く含むチラコイドが存在し,光合成を行い細胞分裂が進み,果実は大きく成長する.果実成長が進むと細胞内のクロロプラストのチラコイドが分解され,カロテノイドを含むプラストグロビュールや膜構造(フィブリル)が増え,クロモプラストへと分化する.近年,解明されてきたクロモプラスト分化メカニズムについて解説する.

  • 大気の硫黄化合物の中で最も豊富に存在する含硫ガス
    飯塚 瑠翔, 片山 葉子
    2024 年62 巻11 号 p. 550-558
    発行日: 2024/11/01
    公開日: 2025/11/01
    ジャーナル フリー

    大気の微量成分である硫化カルボニル(COS)の対流圏の濃度は500 pptv前後である.この濃度は大気の硫黄化合物の中で最大であり,COSの酸化物も含め硫黄循環及び大気環境に影響を及ぼす.硫黄酸化細菌や真菌で発見されたCOS加水分解酵素(COSase)はCOSをH2SとCO2に加水分解し,そのアミノ酸配列の比較から植物・真菌・原核生物に分布するβクラスのカーボニックアンヒドラーゼ(CA)のクレードDに属するが,CAの特徴であるCO2親和性は極めて低い.我々は,COSaseはCAの中でも特異な一群を構成する酵素と考えている.本稿では,低濃度ではあるが常に空気中に存在するCOSを焦点に,微生物による反応を中心に紹介する.

農芸化学@High School
  • 野路 結, 野﨑 涼太朗, 新田 拓海
    2024 年62 巻11 号 p. 559-561
    発行日: 2024/11/01
    公開日: 2025/11/01
    ジャーナル フリー

    本研究ではレーヨンを安価で大量に作製し,レーヨン袋をレジ袋の代替品としプラスチックごみを減らす目的で,廃棄される雑草からのレーヨン合成を試みた結果,シロツメクサから銅アンモニアレーヨンの作製に成功した.乾燥シロツメクサからアルカリ処理により作製した粗セルロース1 gをシュバイツァー試薬に溶解させ,2 mol/L硫酸中に押し出して繊維を作製した.原料をシュバイツァー試薬と混合する時間が重要であり,最適値は10分で,2時間を超えると繊維の生成が確認されなかった.グルコースを加えることで2時間でも繊維ができたため,混合時間が長いとセルロース錯体が空気中の酸素により酸化分解されたと考えられる.本研究では雑草からの銅アンモニアレーヨンの合成に成功し,雑草を原料とすることで安価で大量にレーヨンが作製できることが示唆された.

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