化学と生物
Online ISSN : 1883-6852
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62 巻, 6 号
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巻頭言
今日の話題
解説
  • 食品・医薬産業へ利用可能な機能性
    吉田 健太郎, 小栁 喬, 松﨑 千秋
    2024 年62 巻6 号 p. 273-282
    発行日: 2024/06/01
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー

    細菌が多糖類(菌体外多糖)を産生している理由としては主に,細菌の凝集や接着,そして環境ストレスに対する菌体防御のためと考えられている.これら菌体外多糖を産生する細菌の中でも乳酸菌は古来より食品の発酵に利用されており,その長い食経験ゆえ,安全性が高いことが知られている.そのため安全性の担保されたこの乳酸菌が産生する菌体外多糖は汎用性が高く,様々な産業分野への利用が期待できる.またその多糖の構造は菌株レベルで異なるため,現状でも様々な機能性が報告されており,さらに新たな機能が潜在している可能性も高い.本稿では乳酸菌の菌体外多糖の機能性を利用するために有用と思われる知見を,他の微生物由来の菌体外多糖と比較しながら紹介したい.

  • 内因性抗原を基軸とした免疫系と食との関わり
    近澤 未歩
    2024 年62 巻6 号 p. 283-290
    発行日: 2024/06/01
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー

    生体を構成する組織や細胞などの自己成分は,酸化や細胞死を受けることで本来とは異なる構造を生じ,体内に備わる防御機構である免疫系に認識されることがある.このような,本来は自己成分であるものの,酸化や細胞死などにより抗原性を付与された分子は「内因性抗原」と呼ばれ,生体内に蓄積することで炎症や自己免疫応答などを引き起こすため,恒常性維持の観点から速やかな排除が求められる.自然抗体は生体が生来備え持つ抗体であり,病原体やウイルスなどの多様な抗原の認識を特徴とし,外因性抗原に加え内因性抗原の除去にも寄与する.自然抗体の産生をはじめとする自然免疫系が適切に機能することは,健康維持においても重要であり,食品成分を介した健康効果という観点からも着目される.本稿では,主に免疫系分子と内因性抗原の相互作用に着目したこれまでの研究成果について報告する.

  • 土壌改良から宿主開発まで
    赤澤 真一
    2024 年62 巻6 号 p. 291-298
    発行日: 2024/06/01
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー

    「ミミズと言われて何を思い浮かべますか?」筆者が講演等で問うと,小・中・高・大学生問わず,うねうねして気持ち悪い,道で干からびているという答えの後,畑に良い,土を豊かにする等の回答が得られる.年配者の中には“漢方”として使われていることをご存じの方もおられるが少数派である.このように大部分の方は土に良いという程度の認識しかない.しかしながら,ミミズは多くの消化酵素と強力な血栓分解酵素を有していることからサプリメントとして開発され,近年では虚血性脳血管疾患(脳梗塞等)の治療薬原料としても本格的に研究・利用されている.さらに,ミミズの体腔細胞は細胞毒性に対して感受性があることが報告されていることから,細胞を活用したこれまでにない毒性試験法が提唱されており,筆者らが取り組んでいる宿主開発(異種遺伝子発現系の構築)の対象生物となっている.もちろん廃棄物処理・肥料生産についてもSDGsの観点から現在も盛んに研究されている.このようにミミズを題材にした研究は幅広い分野に展開している.ミミズ研究者は農芸化学の分野では少ないことから,本稿では企画賞の研究並びにミミズ研究の動向について,土壌改良から最新の宿主開発まで紹介・解説したい.

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