会計検査研究
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早期公開論文
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  • -親の持家所有と子どもに対する地元残留希望の影響-
    牧田 修治, 豊田 哲也, 奥嶋 政嗣, 水ノ上 智邦
    論文ID: 2601
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/03/04
    ジャーナル フリー 早期公開

    本稿では,徳島県が実施した「ライフステージと居住地に関するアンケート調査」(2023年3月実施)の調査結果を利用して,地方圏出身者の初職時Uターン行動を分析した。Uターンに関する従来の研究では,地域間人口移動の標準的な理論である所得(賃金)格差モデル,就業機会格差モデルの実証分析が主であるが,本稿では地方へのプル要因として「親の持家」および親の子どもに対する地元残留希望意識に注目して分析した点が従来の研究とは異なる。親の持家および親の子どもに対する地元残留希望意識が地方圏出身者の初職時Uターン行動に影響するかどうか,また,その影響がどの程度なのかということを実証的に明らかにすることが本稿の目的である。

    分析は,初職時Uターンダミーを被説明変数とし,説明変数として「親の持家」ダミー,親の子どもに対する地元残留希望意識ダミー,このほか実質賃金率格差や有効求人倍率格差という経済的格差に関する変数,本人の属性,親の学歴や職業などをコントロールして,2項ロジットモデルによって男女別に行った。分析の結果,男女ともに「親の持家」ダミーのうち「一戸建て」が有意にプラスという結果となった。居住コスト等の経済的なメリットを享受できることが初職時Uターンのプル要因になると解釈できる。また,親の子どもに対する地元残留希望意識ダミーのうち,男女ともに「地元に残るよう勧められた」が有意にプラスとなった。親が地元残留希望を伝えることがプル要因となる。ただし,この直接的な解釈を受け入れるには慎重さが必要であろう。本稿の分析では,地元残留を希望する親の意識や家族内で共有されている価値観等については射程の外に置かれているためだ。今後は,どのような親が子どもに対して地元残留希望を持つのか,そしてどのような子どもが親の希望に従うのかというような家族内で共有されている意識や価値観等に関する分析が必要であろう。

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