閉鎖性内湾である大村湾は,水深が比較的深く鉛直混合が盛んな湾口部と,海底が比較的平らで浅く,穏やかな湾央部に分けられる。湾ロ部は年間を通じ成層が弱いが,湾央部は夏季成層化し,底層に第2躍層が形成され貧酸素化が起こる。この湾の流動特性を知るため,1994年にSTD観測を行い両海域の海洋構造を調べ,観測結果に基づいてモデル実験を行った。その結果,湾央部の成層の強さによって湾口部水の流入深度が変化することが明らかとなった。7,8月の成層構造では湾口部水は湾央部中層へと進入し,表層と底層から湾口部へ流出する循環ができる。湾央部底層には比較的滞留時間の長い水が存在し,底層水と湾口部から流入した中層水の間に第2躍層が形成されることが分かった。9月になると湾口部水が湾央部の中層のみではなく底層へも流入するようになり,第2躍層は消滅する。この結果と第2躍層以深で貧酸素化する状況を考えると,夏季には湾央部底層への湾口部水の水平的な流入が抑制され,そのことが貧酸素化に大きな影響を及ぼすと考えられる。また,8月には循環が弱くなることにより,貧酸素化が加速すると考えられる。
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