海の研究
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11 巻, 6 号
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  • 林 美鶴, 柳 哲雄
    2002 年11 巻6 号 p. 591-611
    発行日: 2002/11/05
    公開日: 2008/04/14
    ジャーナル フリー
    数値生態系モデルを用いて,周防灘の窒素循環を解析した。周防灘の基礎生産量は,秋季・春季に極大,冬季に最小となり,春季は下層でも上層と同程度の基礎生産が行われている。また,周防灘の主たる窒素循環経路はDIN→植物プランクトン→デトリタス→DINで,基礎生産量が減少する時期はDONからのDIN再生が相対的に増加する。周防灘上層では陸域や下層からのDIN供給が少なく,年間を通じて栄養塩が不足して基礎生産が制限されている。また灘外への流出も少ないため,供給された栄養塩のほとんどが基礎生産に利用されており,灘内で基礎生産と再生を繰り返している。下層でも再生された栄養塩が基礎生産を支えており,基礎生産は栄養塩よりも日射量に制限を受ける度合いの方が強い。大阪湾奥部上層は,湾外へ流れ去る栄養塩も多いが供給量が多いために基礎生産が活発である。一方周防灘は,大阪湾奥部に比べ河口循環流が弱いため隣接海域への流出量よりも堆積量の方が多い。陸域から周防灘への栄養塩負荷量が増加した場合に海洋環境の悪化が危惧され,環境の修復には大阪湾奥部以上の時間が必要になることが示唆される。
  • 松村 剛, 石丸 隆, 柳 哲雄
    2002 年11 巻6 号 p. 613-630
    発行日: 2002/11/05
    公開日: 2008/04/14
    ジャーナル フリー
    東京湾における窒素とリンの収支を,各月の観測データをもとにボックスモデルを用いて見積もった。上層におけるDIN(溶存無機態窒素),PO4-P(リン酸態リン)の消費は,ともに成層期に大きく,混合期に小さかった。下層におけるDINの生産は成層期に小さく,混合期にやや大きいが,一方PO4-Pの生産は成層期に大きく,混合期に小さかった。海底へのTN(全窒素),TP(全リン)の堆積は両者とも成層期に大きく混合期に小さい傾向を示すが,TPの堆積はTNに見られるほど大きくはなかった。また,陸上からのDIN,PO4-Pの負荷に対する下層の生産は,周年平均でそれぞれ48%,146%であり,特にPO4-Pで大きかった。以上のような窒素とリンの挙動の相違は,成層期にPO4-Pが海底から溶出することに起因すると考えられる。
  • 日本海洋学会海洋環境問題委員会
    2002 年11 巻6 号 p. 631-636
    発行日: 2002/11/05
    公開日: 2008/04/14
    ジャーナル フリー
    有明海の環境悪化機構の解明とその問題解決のために,現時点で早急に実施が求められる調査課題をここに提案する。1.潮位・潮流の変化諫早湾堤防締め切りを始めとする沿岸開発によって有明海内部の潮位・潮流がどれほどの影響を受けたのか依然として明らかにされていない。この問題は有明海の生態系を考えるとき極めて重要な問題であり,早急に結論が得られるようにすべきである。2.水質浄化機能の喪失と負荷の増大諫早湾潮受け堤防締め切りによる浄化機能の喪失の影響と調整池の汚濁負荷源としての役割を明確にすることが肝要である。特に,第三者委員会が提案している中・長期開門調査はこれらの問題解決ばかりでなく,潮汐・潮流問題の解明のためにも必須である。3.ノリ不作と赤潮の発生ノリ不作と関連した赤潮の発生に関して様々な要因が提起されている。個々の要因を精査するとともに,有明海への栄養塩負荷量の増大や組成比の変化及び潮流変化など諫早湾干拓事業を含めた総合的な解析が必要である。4.貧酸素水塊の発生汚濁負荷量の増加や潮流の減少などにより大規模な貧酸素水塊の頻発化が危倶される。汚濁負荷の影響の強い諫早湾における貧酸素水塊の形成機構とこの貧酸素水塊が有明海全体に及ぼす影響解明が必要である。5.底質の変化諫早湾の堤防近傍を中心に底質の細粒子化・浮泥の堆積が報告され,有機汚濁の進行が認められる。底質の変化は貧酸素水塊の形成,潮汐・潮流問題,二枚貝の漁獲量の減少などにも深く関連した問題であり広範囲にわたる調査が重要である。6.有明海の物質循環過程有明海の生態学的特徴を明らかにして,環境悪化を克服する方策を得るために,陸,干潟,海域全体の変化を総合的・長期的に解析した有明海の物質循環過程の解明が急務である。
  • 宇野木 早苗
    2002 年11 巻6 号 p. 637-650
    発行日: 2002/11/05
    公開日: 2008/04/14
    ジャーナル フリー
    河川およびその流域で行われるさまざまな事業が,河川が注ぐ沿岸海域にどのような影響を与えるかが,4項目を取り上げて考察された。一つは川からの取水の問題で,取水によって海域の流れ,特に鉛直循環が著しく弱まり,海域の環境が悪化することが豊川用水事業を例に説明された。二つは川と海を断ち切る河口堰の問題で,ここでは特に諫早湾干拓事業の潮受堤防は長大河口堰であるとの認識の上に,潮汐・潮流の減少と膨大な千潟・浅瀬の喪失のため,また巨大汚濁負荷生成システムが機能して,有明海の顕著な環境悪化が生じたと解釈された。三つは沿岸の地形,自然,漁業環境を破壊する川からの砂供給の減少の問題で,球磨川を例にしていかに減少量が莫大であるかが示された。四つには流域の森林破壊の影響が議論された。河川事業の海域への影響は,河川内と異なって一般に緩やかに時間をかけて顕れ,また開発が進んだ内湾においては他の人為的影響と重なって判別が難しく,取り返しがっかない状態が生じやすい。事の重大性を認識して,研究の推進の必要性,および川と海を一体とした発想と管理が特に河川関係者に必要であることが,強調された。
  • 角皆 静男
    2002 年11 巻6 号 p. 651-653
    発行日: 2002/11/05
    公開日: 2008/04/14
    ジャーナル フリー
    川口ら(2002)は,有明海における2000年のノリ不作の原因を珪藻が栄養塩を枯渇させてしまったせいと突きとめながら,溶存無機窒素(DIN)減少の理由を有明海内にだけ求めたため,説得力のある説明ができなかった。角皆(1979)のケイ素仮説を用いるとこれが簡単に説明できる。この年は高温・多雨だったので,雲仙普賢岳の噴火による火山灰から溶け出した効果も加わって,多量の溶存ケイ酸塩が海に流れ込み,珪藻が異常増殖し,ノリにいくべき栄養塩を使ってしまったとなる。
  • 川口 修, 山本 民次, 松田 治
    2002 年11 巻6 号 p. 655-656
    発行日: 2002/11/05
    公開日: 2008/04/14
    ジャーナル フリー
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