相模湾中央部における内部潮汐の鉛直構造と間欠性を解明するために,科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業(CREST)において2002年冬季から初夏に実施された流速・水温記録を解析した。ADCPで得られた流速記録には,200m深付近の主温度躍層を中心として顕著な半日周期,100m以浅には一日周期の変動が認められた。4月7日に北向きの強い流れとともに水温が急激に上昇し,成層が大きく変化したため,その前後に分けて解析した。表層混合層の発達した観測前半には,半日周期内部波の振幅は主温度躍層で大きく,位相は下層に向かい遅れる傾向が見られた。しかし,半日周期(M
2成分)の変動は,潮流楕円の形状が円に近いことから,単一波によるものではなく,複数点で発生した波あるいは入射波と反射波の合成によるものと考えられた。次に,半日・一日周期帯の運動エネルギー密度の時間変化を追求した。半日周期帯のエネルギーは,観測前半ではほぼ大潮小潮周期で変動し,250m深付近で比較的大きかったが,成層が変化した後の4月下旬以降では200m以浅で大きくなっていた。一方,一日周期帯のエネルギーは,基本場の流れが強くなった時に200m以浅で大きくなる傾向が認められた。この基本場の流れは,相模湾へのイベント的な黒潮系暖水の進入や黒潮流軸の接近に伴い強められていたことが判明した。さらに,基本場の流れが強かった観測後半には一日周期帯のピークが28.8時間周期に現れていたが,これは基本場の流れによって一日周期内部波の周期が変調したものと推察された。
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