海の研究
Online ISSN : 2186-3105
Print ISSN : 0916-8362
ISSN-L : 0916-8362
14 巻, 4 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 池田 元美
    2005 年14 巻4 号 p. 481-487
    発行日: 2005/07/05
    公開日: 2008/04/14
    ジャーナル フリー
    海洋中規模現象のモデル研究を中心として, 数値流体力学に取り組む端緒である吹き出し流の不安定現象から, 海流蛇行や渦形成とそれに関係する傾圧不安定と非線形相互作用について, 興味深いと思う事柄を述べた。さらに海の天気予報に必要なデータ同化の手法を用いて, 海面データから深層の状態を再現できることを示した。同様の考えを海洋化学場に応用し, 夏の混合層直下に予想より高い炭酸塩が存在することに言及した。
  • 杢 雅利
    2005 年14 巻4 号 p. 489-498
    発行日: 2005/07/05
    公開日: 2008/04/14
    ジャーナル フリー
    西部北太平洋亜寒帯域および移行域に生息するハダカイワシ科魚類の優占種について日周鉛直移動様式を解析して, 典型的な日周鉛直移動を行なう種, 夜間の分布が表層と中層に分かれる種, 夜間の分布の上限が昼間の分布の上限よりも浅くなる種, 日周鉛直移動を行なわない種の大きく4つのタイプに分けられることを明らかにした。さらに, 生物量で優占するトドハダカ, コヒレハダカおよびセッキハダカの3種について摂餌生態および成熟について多くの新知見を得た。特に, 胃内容物の精緻な解析から, 日周鉛直移動が餌の豊富な表層への摂餌回遊であることを示した。これらの知見は, 夜間の表層での魚類マイクロネクトンによる餌料プランクトン消費量を見積もる実証的パラメーターを示したもので, さらに精度の高い水産資源管理モデルの構築だけではなく, 外洋における生物ポンプの生態学的な理解にも大きく貢献するものである。さらに, トドハダカについては初期成長および産卵生態を明らかにして, 本種が亜寒帯域と移行域の間で摂餌・産卵回遊を行なっていることを示した。
  • 陳 苗陽, 山田 二久次, 関根 義彦
    2005 年14 巻4 号 p. 499-511
    発行日: 2005/07/05
    公開日: 2008/04/14
    ジャーナル フリー
    日本南岸への黒潮の流入海域である薩南海域について, 1993年から1999年までの人工衛星の海面高度データより, 地衡流バランスを仮定して求まる表面地衡流の時空間変動を解析した。人工衛星の軌道直下から離れた点があるために高度データの誤差が無視できないが, 名瀬と中之島, 中之島と西之表, 西之表と油津の潮位差と海面高度より求めた表面地衡流の間にはトカラ海峡南東部を除いて有意な正の相関が得られた。両者のラグ相関により黒潮上流からの流れの変化に対応して潮位差が生じている。そして, トカラ海峡南部海域では表面地衡流流速が小さく流向が著しく変動するのに対して, 中部海域と北部海域は比較的流速が大きく流向が安定していることが示された。トカラ海峡の北部海域では, 陸棚上にある黒潮の上流域に比較して下流域の陸棚斜面上の方が表面地衡流の経年および季節変動が大きい傾向にある。またトカラ海峡北部海域では流速の季節変化が小さく, 従来の地衡流推算の季節変動の観測値とほぼ一致していた。
  • 橋本 洋平, 磯田 豊, 大西 広二, 坂岡 桂一郎
    2005 年14 巻4 号 p. 513-525
    発行日: 2005/07/05
    公開日: 2008/04/14
    ジャーナル フリー
    Suga et al. (2003)は180°断面で観測される亜表層の水温極小水の起源がベーリング海西部の冬季混合層にあることを示した。アラスカ湾においても水温極小が存在しており, この水塊の存在は水深100~150mに形成される強い塩分(密度)躍層によって保たれている。このアラスカ湾の水温極小水の起源を明らかにするために, 9年間(1994-2002年)継続して行なわれた145°W断面の水温・塩分資料を解析した。その結果, 180°断面と145°W断面で観測される水温極小の水塊特性の違いが明らかになった。次に, 冬季海面水温と145°W断面で観測された水温極小のコア水温の経年変動解析から, 145°W断面の水温極小はアラスカ湾付近における冬季の大気海洋相互作用により, その場で形成されている可能性を示した。145°W断面では上述の水温極小以外に, 塩分躍層以深にもう一つの水温極小がみられた。この水温極小は26.7σθよりも重い密度帯で微細な水温逆転構造をもち, 西向きの流れ場の中に多く存在する傾向がある。
  • 筧 茂穂, 藤原 建紀, 山田 浩且
    2005 年14 巻4 号 p. 527-540
    発行日: 2005/07/05
    公開日: 2008/04/14
    ジャーナル フリー
    鉛直的・空間的に密に測定されたAOUのデータからの線形回帰, あるいは表層と底層の栄養塩濃度の線形補間によって栄養塩現存量を算出し, その季節変動を明らかにした。下層のDIN現存量は, 1,500~2,600tの範囲で変動し, 夏季に高く, 冬季に低かった。上層のDIN現存量は, 下層に比べ, 夏季は低いものの冬季はほぼ同じであった。DIPの現存量はDINよりも明瞭な季節変動をし, 冬季には上下層とも200tであるのに対し, 夏季には上層は400t, 下層では800tにまで増加した。現存量の時間変化量と海水交換による栄養塩変化量の差から見積もった生物・化学的要因による栄養塩の変化量は, 物理的要因(海水交換)による栄養塩変化量よりも大きかった。夏季の上層では, クロロフィル濃度の増加と対応してDIN・DIPが減少する場合があるものの, 両者が完全に同調するわけではない。夏季の下層における生物化学的要因によるDIP変化量は正であり, 溶出の影響が大きいことが示された。一方で, DIPの吸着や, 一年を通じて脱窒が起こっていることもAOUとレッドフィールド比から示された。
feedback
Top