海の研究
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16 巻, 5 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
原著論文
  • 野村 英明, 石戸 義人, 石丸 隆, 村野 正昭
    原稿種別: 原著論文
    2007 年16 巻5 号 p. 349-360
    発行日: 2007年
    公開日: 2025/03/04
    ジャーナル フリー

    1993年1月から1995年5月までの期間にわたって,富栄養化した内湾の典型である東京湾の多摩川河口沖の観測点Sta. Aと湾中央部の観測点Sta. T4において,毎月各層採水して,細菌密度の時空間変動を調査研究した。表層細菌密度(cells ml-1)は,測点Aでは0.7×106~9.9×106(平均:4.1×106),測点T4では0.8×106~9.6×106(平均:3.5×106)でそれぞれ変動した。最高細菌密度は,共に水深5mで観察された (1993年9月にSta. A; 11.1×106,1994年9月にSta. T4; 10.5×106)。細菌密度は冬季に安定して低く,水温が上昇すると変動幅の増大を伴いつつ上昇した。東京湾では周年にわたり細菌群集の増殖を基質濃度は律速せず,その細菌密度は冬季には主に水温によって制御されていた。細菌密度は,時空間的に観測点間の差がほとんどなく,少なくとも東京湾中央部海域においては,細菌の生息環境は均一化していたと考えられる。

  • 小熊 幸子, 川崎 康寛, 東屋 知範
    原稿種別: 原著論文
    2007 年16 巻5 号 p. 361-374
    発行日: 2007年
    公開日: 2025/03/04
    ジャーナル フリー

    根室海峡は,オホーツク海−太平洋間の海水交換の場の一つと考えられているが,海峡内における水質変化について全体像が把握された例は非常に少ない。本研究では,歴史的データおよび最近の観測データを用いて,春季・秋季の水温・塩分の水平平均場および鉛直分布などを示し,根室海峡西岸域における水質分布の季節変化の要因について議論した。野付半島を境界として,海峡北部はオホーツク海沿岸域を流れる宗谷暖流水の季節変動を反映した水質分布を示す一方で,河川水の混合やオホーツク海中層水の湧昇が表層の水質分布に変化をもたらすことが分かった。その一方で海峡南部は,春季は根室湾内の水と沖合との間で根室湾口に顕著な塩分フロントが形成され,秋季は北部より宗谷暖流水の影響が小さく低塩分となることが明らかになった。また,酸素の安定同位体存在比δ18Oと塩分の関係式を用いて,春季の海面付近の水質変化に対する河川水の寄与についても調べた。その結果,海面付近の表層に海峡北部で0.50-0.95%, 野付半島沖および海峡南部で1.47-3.25%混入していることが分かった。オホーツク海と太平洋を結ぶと考えられてきた根室海峡において,少なくとも海峡西岸域では,北部と南部,そして表層・亜表層とで水質が複雑に変化し,河川水によっても変質を受けていることが示唆された。

総説
  • 堀川 恵司, 重光 雅仁, 南川 雅男
    原稿種別: 総説
    2007 年16 巻5 号 p. 375-399
    発行日: 2007年
    公開日: 2025/03/04
    ジャーナル フリー

    海洋における窒素の動態とそれに関連したδ15N値の特徴は,硝酸態窒素や懸濁態粒子,堆積物などの窒素同位体組成(δ15N)の測定から明らかにされてきた。このような研究によって得られた知見をもとに,堆積物のδ15Nの時系列変動から,過去の海洋における窒素固定,脱窒,硝酸利用効率の変動などが復元されてきた。その結果,海洋の窒素循環が,気候システムと密接に連動していることが明らかにされてきた。しかし,その一方で,海洋環境や時代によって,δ15Nに影響を及ぼす主要因が異なることも明らかになってきている。本論文では,δ15Nを古海洋研究で利用する際に注意が必要となる,海洋の窒素循環の仕組みとδ15Nの変動要因について解説する。さらに,様々な海域で報告されている堆積物δ15Nの時系列変動の特徴についてこれまでの研究報告をもとに概説し,窒素循環と気候システムの関連性ならびに今後の展望について論評した。

論説
  • 西條 八束
    原稿種別: 論説
    2007 年16 巻5 号 p. 401-406
    発行日: 2007年
    公開日: 2025/03/04
    ジャーナル フリー

    陸水学は,通常,湖沼を研究水域としている。そして,湖沼が海洋に比べて閉鎖性が強いことを除けば,とくに生態系の構造と機能,物質循環などにおいて共通の性状を示す場合が多い。さらに湖沼が閉鎖的であることは,そこに生息する生物の相互関係,あるいは生物と生活環境の相互作用などを把握しやすくさせている。特に小湖を研究水域とすれば,時間的,空間的に密な観測,あるいは長期にわたる観測も容易で,多額の経費もかけずに精密な研究ができる。

    湖沼は通常,深い湖と浅い湖に分けられ,その性状も異なり,貧栄養湖と富栄養湖に分類される。さらに特異な湖であるが,深層に海水など高密度の水が半永久的に停滞している湖(部分循環湖)では,塩分の境界層に厚いバクテリアプレートが形成され,そこに各種のバクテリアなどが密生し,新たな知見が数多く見出されており,海でも同様な現象発生の可能性がある。また近年は,水域の富栄韮化が重大な環境問俎となり,その分野の研究が盛んになっている。

    日本では,湖沼における生物生産と物質循環の研究が,海洋における同様な分野の発展の基礎となった。このような陸水学の研究成果が海洋学の発展に寄与した具体例を挙げて論説した。

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