珪藻沈降群集フラックスと海洋環境変動との対応関係を探るために、Station AB(ベーリング海)とStation SA(北太平洋北部中央亜寒帯)において、1990年8月から1999年1月上旬までに得られたセディメントトラップ試料を分析した。全珪藻フラックス変動の極大は、多くの年は両Stationともに春と秋のどちらか年一回か、春と秋の年2回観察された。しかし年によっては特異なフラックス変動が観測され、そのタイミングはStations ABとSAで異なっていた。これらの経年変動は、おそらく冬季鉛直混合と、それに引き続く成層構造の発達度合いとタイミングの違いが影響していると思われる。珪藻沈降群集の優占種はNeodenticula seminaeで. 8年間を通した平均優占率はABで80%、SAで82%に達した。8年聞を通して、珪藻沈降群集組成に若干の変化が両Stationで見られたが、これらの変動傾向が長期的な海洋環境変動と関係しているかどうかについては、9年目以降の試料分析を通して考察する必要がある。