海の研究
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19 巻, 5 号
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総説
  • 小針 統
    原稿種別: 総説
    2010 年19 巻5 号 p. 213-232
    発行日: 2010/09/05
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー

    浮遊性カイアシ類は,世界中のいずれの海域においても動物プランクトン群集の主要な構成群であり,海洋生態系において基礎生産を高次栄養段階へ転送する役割を担っている。一般的に,浮遊性カイアシ類の生産は個体群の生物量に成長速度を乗ずることによって求めることができる。生物量については技術の向上によって正確に測定できるようになってきたものの,成長速度については浮遊性カイアシ類に適した測定法がどれか検討されておらず,このため基礎生産と比べると浮遊性カイアシ類における生産の推定備が妥当かどうかよく分かっていない。本稿では,これまでに利用されてきた天然カイアシ類個体群における成長速度の測定法をレビューし,測定の際に必要な仮定をまとめ,これらの利点・欠点を明らかにすることを目的とした。天然カイアシ類個体群の成長速度を求める方法として,これまで天然コホート法,人工コホート法,脱皮率法,卵生康法,核酸・タンパク質比法,酵素活性法,経験的モデルが利用されてきた。いずれの手法も固有の仮定に起因する利点と欠点があり,今のところ普遍的に利用できる手法は存在しない。サンプリング条件やカイアシ類の種類にふさわしい手法を選ぶと共に,複数の手法を組み合わせて欠点を補うこと,推定値の妥当性を評価することが重要である。

寄稿
  • 木戸 和男, 奥村 裕弥, 大澤 賢人
    原稿種別: レター
    2010 年19 巻5 号 p. 233-242
    発行日: 2010/09/05
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー

    解析データのひとつとして潮位データが欲しいと思っても近くに検潮所がない,あるいは観測対象とする現象のスケールに対して,既設の潮位観測施設では地点間隔などの条件を満たさない場合に,臨時的に数ヶ月間の運用が可能な観測網を展開できる比較的安価で簡単に製作できる簡易潮位計を提案した。この潮位計は,測定器として市販の圧力式深度計,波の減衰器として機能する細いチューブ,これらを格納する塩化ピニール製のパイプで構成されている。室内で測定した時定数(緩和時間)を用いた計算では,周期30秒以下の波は0-10%以下に減衰し,1時間以上の周期の長い波は減衰されることなく1-1分半の避れで測定されるものと推定された。

    国土地理院検潮場との実海面比較観測では3cm以内の差で非常に良い相関と追従性を示し,簡便な潮位計として利用できる性能を持っていることが示された。また,北海道南部の噴火湾沿岸3ケ所に3ヶ月間設置した耐久試験観測では,湾内でも場所によって大きく異なる海面の昇降が観測され,低予算で多数の潮位計を製作して観測網を展開することの利点が示された。

  • 柳 哲雄
    原稿種別: レター
    2010 年19 巻5 号 p. 243-248
    発行日: 2010/09/05
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー

    沿岸海域でどのような水質(例えば栄養塩濃度)が望ましいかは,海洋学の立場からだけでは決められない。問題としている沿岸海域の管理者・利害関係者・科学者(海洋学者のみならず,社会・人文科学者を含む)による協議会を立ち上げ,参加者の合意のもとで,望ましい水質が決められ,その水質を実現するための様々な協働作業が行われる。この協議会において,海洋学者に要請される研究課題と役割について論じる。

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