海の研究
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20 巻, 5 号
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総説
  • 杉江 恒二, 芳村 毅
    2011 年20 巻5 号 p. 101-148
    発行日: 2011/09/15
    公開日: 2020/04/09
    ジャーナル フリー

    海洋酸性化が海洋生物に及ぼす影響に関する研究が近年勢力的に行われている。本総説では, 先ず, 地球史における海水のpHの変遷と現代の海洋酸性化とを対比しながら植物プランクトンの動態について考察した。続いて,海洋酸性化の実験方法および植物プランクトンの生理生態と物質循環に及ぼす影響に関して近年の報告を中心にまとめ,以下の課題を抽出した。(1)過去の海洋酸性化の研究において亜寒帯や寒帯および外洋性の単離培養株が用いられていないこと, 生息域や生活環に基づく実験が行われていないことは, 自然環境における海洋酸性化の影響を把握する上での知識の欠如となっている。(2) pHの変化によって鉄と錯形成をする有機配位子の化学形態や2価鉄の濃度が変化するため,それらが生態系に及ぼす影響を評価する必要がある。(3) pHの低下により植物プランクトン細胞の有機炭素:リン比は増加する傾向,有機炭素:窒素比はほとんど変化しない傾向にある。一方では,pHの低下が溶存有機物およびケイ素の動態に毎える影響には未解明な点が多いため,研究を促進させる必要がある。(4) pHの低下と鉄などの微量元素の利用性との複合作用がシアノバクテリアの窒素固定速度に及ぼす影響を明らかにし,窒素循環過程の理解を深化させる必要がある。

原著論文
  • 君塚 政文, 小橋 史明, 岩坂 直人
    原稿種別: 研究論文
    2011 年20 巻5 号 p. 149-165
    発行日: 2011/09/15
    公開日: 2020/04/09
    ジャーナル フリー

    アルゴフロートと衛星の観測データを用いて,2009年1月から7月の期間における三陸沖の暖水渦(WCR1)と北梅道南東沖の暖水渦(WCR2)の鉛直構造と海水特性告調べた。2つの暖水渦は,ほぼ同じ時期の2007年2月に黒潮続流から切離された。WCR1とWCR2は,いずれも高気圧性渦の密度構造を持ち,等密度面で比較すると,渦内には周囲に比べて高温高塩の黒潮系の水を合む。黒湖水と親湖水の等密度面混合比を用いて,渦の海水特性を調べた結果,WCR1の混合比はおよそ20~50%,WCR2は80%以上であり,渦の周聞に混合比の大きい親潮系の水が分布しているWCR2の方が,渦内の海水が変賀していることを示された。観測周期が通常よりも短く,時間分解能の高い2台のアルゴフロート観測データと船舶観測データを用いて,WCR1の海水特性の時間変化を調べた。渦内の海水特性は顕著な時間変化を示し,渦の外縁部にみられる低温低塩の親潮系の水が,狭い密度幅、かつ数日の短い間隔で断続的に渦内へ貫入している様子が明らかになった。渦内の海水は徐々に親潮系の水へ変質しているため,小さいスケールで起こる渦周囲からの親潮系の水の貫入が,渦内の海水変質の要因であることを示唆した。

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