海の研究
Online ISSN : 2186-3105
Print ISSN : 0916-8362
26 巻 , 4 号
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総説
  • 中村 啓彦
    2017 年 26 巻 4 号 p. 113-147
    発行日: 2017/07/15
    公開日: 2018/09/13
    ジャーナル フリー

    本総説の目的は,黒潮流路と流量の季節変動と経年・十年規模変動について,ルソン島沖から九州東岸沖までを俯瞰し,海域毎の共通点と相違点を認識することによって,より包括的な黒潮理解の枠組みを築く手がかりを示すことである。特に,季節変動を支配する力学を掘り下げる。例えば,黒潮流路の季節変動については,ルソン海峡での黒潮のループ流路,台湾北東方の黒潮の陸棚上への貫入,九州東方の黒潮小蛇行といった鍵現象のいずれも,冬季に発生する点で共通している。一方,黒潮流量は,多くの流域で夏季に多く,秋~冬季に少ないという観測事実がある(フロリダ海流も同様である)。これらの現象の普遍的メカニズムとして,内部領域の風応力場に対する遠隔応答(スベルドラップ応答)の他に,黒潮上の風応力場に対する非線形エクマン応答や大陸棚斜面に沿った地形性ロスビー波応答といった西岸境界層内の局所プロセスと遠隔プロセスの重要性を指摘する。経年・十年規模変動では,スベルドラップ応答が支配的な力学となるが,局所応答が重要である現象も認められる。

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