海の研究
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26 巻, 6 号
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総説
  • 黒田 一紀
    2017 年 26 巻 6 号 p. 251-258
    発行日: 2017/11/15
    公開日: 2018/04/09
    ジャーナル フリー

    気象庁が1967年に始めた東経137度線の海洋観測は,2016年に50年目を迎えた。フィリピン海中央部に位置する観測線は,亜熱帯循環の主な海流系を横切り,その半世紀にわたる観測資料は,海況や物質循環および気候の長期変動に関わる有用な成果を産出してきた。本総説では,増澤譲太郎博士による137度線の創始を可能にした条件を3つ挙げ,それらに関わる経緯を詳述することにより,今後の本観測線の継承および海洋モニタリングのあり方に資することを目指す。3つの条件とは,黒潮研究に造詣深い増澤博士の指導力と先見性,気象庁が待望していた「凌風丸Ⅱ世」の代船建造,そして1965年に開始した国際黒潮共同調査の対象海域にフィリピン海が含まれたことである。付加する必須事項として,米国のMontgomery博士が留学中の増澤博士に,赤道海流系の重要性と大洋規模の定期的海洋環境監視の必要性を示唆した点がある。これらの条件が1966年に出揃った結果として,1967年1月の第1回137度線の定期海洋観測が実現した。

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