2016 年夏季に宗谷暖流沖合域で実施したCTD ならびにXBT とADCP を用いた25 時間連続往復断面観測で得られた詳細な流れ場と水温場の時間変化データの解析によって,冷水帯を伴った日周期渦流が宗谷暖流沖合を横切る様子を初めて捉えた。観測された冷水帯下部は,ほぼ均一な高塩分水で占められており,その起源は日本海中層水であることが示された。数値モデル結果を使用したトレーサー実験によって,日本海中層水は,岸向きの移流と湧昇により宗谷海峡へ供給された後,卓越した日周潮流により励起された反時計回りの孤立渦流に取り込まれ,冷水帯下部の海水の大部分を構成するとともに,宗谷暖流沖合水となって移流されることが示唆された。