海の研究
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31 巻, 1 号
海の研究
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総説
  • 江淵 直人
    原稿種別: 総説
    2022 年31 巻1 号 p. 1-21
    発行日: 2022/02/15
    公開日: 2022/02/15
    ジャーナル フリー

    衛星搭載マイクロ波センサーは,マイクロ波帯の電波を利用することによって,昼夜や天候の影響を受けずに海面を観測することができる反面,合成開口レーダを除けば,空間分解能は10 km オーダーと粗い。可視・赤外放射計が,クロロフィル a 濃度や海面水温の高解像度画像をもたらすのに対して,マイクロ波センサーは,全球スケールの物理量観測が中心となる。高精度の物理量観測を達成するためには,海面の物理過程を基礎としたアルゴリズムの開発と観測精度の評価および誤差特性の把握によるアルゴリズム改良へのフィードバックが必要不可欠である。本稿では,マイクロ波散乱計,レーダ波高度計,マイクロ波放射計の3種類の衛星マイクロ波センサーによる海洋観測とその利用に関する私のこれまで研究を振り返るとともに,今後の展望について述べたい。

  • 久保 篤史
    原稿種別: 総説
    2022 年31 巻1 号 p. 23-38
    発行日: 2022/02/15
    公開日: 2022/02/15
    ジャーナル フリー

    東京湾は大都市である東京を流域に持っており,人間活動の影響,特に下水処理水の影響を強く受けている。本稿では,筆者がこれまでに行ってきた東京湾における炭素循環・栄養塩類循環研究の成果を紹介する。東京湾における二酸化炭素収支は世界の沿岸海域と異なり二酸化炭素の吸収域となっていた。東京湾では植物プランクトンの光合成による二酸化炭素消費が陸域起源有機物の分解による二酸化炭素供給を上回った結果だと考えられる。これは,流域での下水処理により易分解性有機炭素や粒状有機炭素の大部分が除去され,主に難分解性有機炭素が東京湾に供給されていることに由来する。同様に東京湾流域の下水処理場における高度処理開始は東京湾に流入する栄養塩負荷量を低下させ,東京湾内の栄養塩濃度を低下させていた。流域の下水整備・処理効率の上昇や高度処理の開始により,東京湾の有機炭素・栄養塩類濃度は減少していた。それに伴い東京湾は二酸化炭素の放出域から吸収域へと変化していた。すなわち,栄養塩類濃度の減少を上回る易分解性有機炭素や粒状有機炭素除去の寄与が相対的に大きい結果と考えられる。

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