海の研究
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解説
  • 本多 牧生
    原稿種別: 総説
    2025 年 34 巻 1 号 p. 1-36
    発行日: 2025/01/15
    公開日: 2025/01/15
    ジャーナル フリー

    地球温暖化の原因である大気中の二酸化炭素増加を低減させるため脱炭素化,省エネルギーとともに,ジオエンジニアリング(気候工学)的な二酸化炭素吸収方法の検討がなされている。海洋は人為起源の二酸化炭素の約1/4を吸収し,大気中の二酸化炭素の約50倍の二酸化炭素を保有しており,潜在的な二酸化炭素の巨大な吸収・貯留の場である。この能力を人工的に高めるのが海洋への二酸化炭素除去方法・技術(Marine Carbon Dioxide Removal: mCDR)である。mCDRとしては(1)栄養塩肥沃化(2)人工湧昇・沈降流(3)海藻養殖(4)海洋生態系回復(5)海洋アルカリ度増強(6)電気化学工学的除去などが考えられるが,知識不足,経験不足により,実際に大気中で増加する二酸化炭素を低減させる規模のmCDRを実海域で実施する段階には,至っていない。本解説は,全米科学・工学・医学アカデミー(National Academies of Science, Engineering, and Medicine)による上記6つのmCDRの実現可能性調査報告のうち,生物地球化学的手法である(1)-(4)の要点を,原文に沿って,かつ筆者からの解説を若干加えながら,紹介するものである。

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