海の研究
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9 巻, 3 号
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  • 柳 哲雄, 山田 真知子
    2000 年 9 巻 3 号 p. 125-132
    発行日: 2000/05/05
    公開日: 2008/04/14
    ジャーナル フリー
    過栄養化した洞海湾で冬季に赤潮が発生しない理由を考察した。洞海湾では1年中発達している重力循環流により湾内有光層の植物プランクトンは約2.5日で湾外に輸送される。夏季は強い日射と高水温による大きな増殖速度のために, 植物プランクトン密度は, 2.5日以内に赤潮の密度まで到達する。一方冬季は弱い日射と低水温による小さな増殖速度のために, 植物プランクトンは赤潮密度に到達する以前に, 栄養塩濃度の低い湾外に輸送され, 赤潮は発生しない。
  • 林 美鶴, 柳 哲雄
    2000 年 9 巻 3 号 p. 133-142
    発行日: 2000/05/05
    公開日: 2008/04/14
    ジャーナル フリー
    四国電力及び大阪府立水産試験場が実施した水質調査結果を基に, 伊予灘南部及び大阪湾の栄養塩及びDIN/DIPの時間変動を求め, 伊予灘については1982年~1998年, 大阪湾については1982年~1996年にかけての栄養塩環境を明らかにした。伊予灘南部は貧栄養状態にあり, DIN/DIPに顕著な季節変動は見られず, 8月は表層よりも底層で高い栄養塩濃度を示した。また, 陸棚斜面から伊予灘南部底層への高栄養塩水の貫入の可能性が示唆された。大阪湾は富栄養状態で, DIP濃度の1973年からの低下傾向が1985年で停止し, それ以降は横這いであった。基礎生産は, 2月と5月はリンに律速されていた。河川からの栄養塩供給に加えて, 底泥からのDIP供給が大阪湾の栄養塩循環に影響を及ぼしていることが示唆された。以上に示した両海域の栄養塩環境は, 解析期間において安定していたことが明らかとなった。
  • 鎌谷 明善
    2000 年 9 巻 3 号 p. 143-159
    発行日: 2000/05/05
    公開日: 2008/04/14
    ジャーナル フリー
    海洋生態系において、ケイ酸は必須成分であり, とりわけ珪藻の消費量は膨大である。堆積物や懸濁粒子中の生物珪酸を測定することによって、海洋の生態系やケイ素の生物地球化学的循環を解析する上での重要な情報が提供される。アルカリ抽出法, X線回折法等, さまざまな測定法が提案されてきたが, いずれの方法にも解決すべき多くの問題点が残されている。そこで, 生物ケイ酸の測定法の現状と問題点を整理した。
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