海の研究
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14 巻, 5 号
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  • 富田 裕之, 久保田 雅久
    2005 年 14 巻 5 号 p. 571-592
    発行日: 2005/09/05
    公開日: 2008/04/14
    ジャーナル フリー
    大気海洋相互作用や気候変動など多くの研究分野において, 全球海面熱フラックスデータセットの必要性・重要性は大きい。今日では, 現場観測データ, 数値モデルの出力データ, 人工衛星データなどの様々なデータから全球海面熱フラックスデータセットが構築され利用されている。本総説論文では, 現在利用できる海面乱流熱フラックスデータ(da Silva, SOC, GSSTF1/2, HOAPS1/2, NRA1/2, ERA15/40)について平均場の特徴や乱流熱フラックスの直接観測に基づく精度評価結果について比較検討した。各データセットの相互比較結果においては, 平均場における全体的な特徴は定性的に似ているが, 定量的には最大で100W m-2近くの差があることを示す。直接乱流観測データなどの現場観測値との比較結果においては, 衛星乱流熱フラックスデータの誤差要因の多くが, バルクパラメータ(主に風速や大気比湿)の誤差に起因することを示している。また再解析データにおいては, バルク式に起因する誤差が大きく, 特に西岸境界流域などでは, 乱流熱フラックスの値を過大評価する傾向がある。ただし, 相互比較を行なった多くの研究では, 時空間解像度や比較基準が研究によって異なるため, 今後, より統一的な視点での相互比較や精度検証が行なわれることが望まれる。また, 全球乱流熱フラックスデータの今後の課題として, 統合的なデータセットの作成や複数衛星データを用いたデータセットの作成や, 各データセットの特性に最適なバルク式の検討などが考えられる。
  • 大島 巌, 阿部 恵子
    2005 年 14 巻 5 号 p. 593-600
    発行日: 2005/09/05
    公開日: 2008/04/14
    ジャーナル フリー
    有明海は海水中の高いSS濃度に代表される特徴ある海域であり, SSへの栄養塩の吸着と逆の栄養塩の溶脱があるとともに, SSによる海水中の光条件の変化が植物プランクトンによる一次生産を大きく左右するといわれている。本報では, 有明海全域にわたる上層の水質と光量子量の鉛直分布をもとに, SS濃度やクロロフィルーa濃度から上層での消散係数を算出できる回帰式を提案する。
  • 日本海洋学会海洋環境問題委員会
    2005 年 14 巻 5 号 p. 601-606
    発行日: 2005/09/05
    公開日: 2008/04/14
    ジャーナル フリー
    2001年, 日本政府は都市再生プロジェクト(第二次決定)において, 東京国際空港(以下, 羽田空港)の再拡張事業を選定し, 「国際化を視野に入れつつ羽田空港の再拡張に早急に着手し4本目の滑走路を整備する」方針を固め, 2002年6月, 「羽田空港を再拡張し, 2000年代後半までに国際定期便の就航を図る」ことを閣議決定した。4本目の新滑走路の位置を確定した国土交通省は, 2009年の完成を目指している。工期には約3年を要すため, 2006年春には着工の予定である。本事業の環境影響評価に関しては, 2004年11月28日に1か月間の環境影響評価方法書(以下, 方法書)の縦覧期間が終了し, 国土交通省は2006年の事業着工にむけ, 影響評価準備書(以下, 準備書)の作成段階に入っている。この事業計画は(図1), 羽田空港沖から多摩川河口域にかけて, 埋立と桟橋のハイブリッド構造の滑走路を建設するものである(図2)。こうした構造物の建設は, 東京湾の水域生態系に少なからぬ影響を与えることが考えられる。したがって, その環境への影響は時間をかけて慎重に論議され調査されなければならない。このことに照らせば, 方法書から準備書作成までの期間は, 環境影響評価を行うにはあまりにも短いように思われる。方法書に対する意見の提出期限(2004年12月13日)はすでに過ぎたが, 長年にわたり海洋の環境を調査・研究してきている日本海洋学会海洋環境問題委員会としては, 本事業の環境影響を最小限に止めることを切望し, 羽田空港再拡張事業における環境影響評価のあり方について特に見解を表明する次第である。
  • 角皆 静男
    2005 年 14 巻 5 号 p. 609-611
    発行日: 2005/09/05
    公開日: 2008/04/14
    ジャーナル フリー
    川口ら(2004)は, 毎月1回ずつ長期にわたって測定した有明海表面水中の硝酸塩, リン酸塩, ケイ酸塩の濃度を解析して, ケイ酸塩は, 珪藻プランクトンの増殖制限元素となっておらず, 有明海では角皆(1979)のケイ素仮説は成り立たないと述べている。しかし, ケイ素仮説は, ケイ酸塩がある濃度以下になると, 優占種が珪藻から渦鞭毛藻などに移り変わるというものである。さらに, 角皆(2002)は, ケイ素仮説を浅い海底や河川から常に栄養塩が補給されている有明海に拡張し, 2000年度冬にノリが不作になった原因を推測した。それは, この年, 陸からのケイ酸塩の負荷量が異常に多く, 珪藻赤潮がいつまでも続き, ノリにいくべき硝酸塩やリン酸塩がなくなってしまった結果とするものである。珪藻はケイ酸塩がなければ生育できないが, 硝酸塩やリン酸塩がなければあらゆる植物が生育できないのは当然である。しかし, 川口ら(2004)は, これらにはまったく触れず, 筋違いのケイ素制限説にすり替えて批判している。
  • 川口 修, 山本 民次, 松田 治, 橋本 俊也
    2005 年 14 巻 5 号 p. 613-616
    発行日: 2005/09/05
    公開日: 2008/04/14
    ジャーナル フリー
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