海の研究
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9 巻, 1 号
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  • 櫻井 仁人, 前田 明夫, 杉森 康宏, 久保田 雅久
    2000 年 9 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 2000/01/05
    公開日: 2008/04/14
    ジャーナル フリー
    鹿児島湾は湾内の平均水深に比べて浅い湾口を有している。このような湾での流動特性を知るため,過去に湾口断面で実施した流速観測の結果を解析した。その結果,(1)1980年,1981年2月の混合期では,上層流入・下層流出が57%の頻度で現れ,(2)1980年,1981年6月の成層期ではパターンは逆に上層流出・下層流入が55%の頻度で存在した。次に,流入量,流出量を流速断面積分により求めた。その結果,(1)流入のピークと流出のピークは一致していた。(2)東側上層流入流速の大きい日は断面における流入量も流出量も大きくなった。観測期間内に生じた5回のイベント(急激な流入)に対応する流入量の総和は455億トンであり,イベント時以外の総流入量は260億トンであった。イベント期間における1日当たりの流入量は16,2億トンであり,イベント時以外の1日あたりの流入量は7.7億トンであった。このことより湾の海水交換にはイベントの影響が大きいことが分かった。
  • 升本 順夫
    2000 年 9 巻 1 号 p. 15-26
    発行日: 2000/01/05
    公開日: 2008/04/14
    ジャーナル フリー
    西太平洋及びインド洋の熱帯域における海洋循環とその変動について,海洋大循環モデルを用いて行った著者の最近の研究を簡単に紹介する。特に西太平洋熱帯域に発達するミンダナオ・ドームの季節変動,インドネシア通過流に見られる年周期と半年周期変動,および南部熱帯インド洋の年周期強制ロスビー波を取り上げ,それらの発生機構を明らかにする。
  • 鈴木 利一
    2000 年 9 巻 1 号 p. 27-41
    発行日: 2000/01/05
    公開日: 2008/04/14
    ジャーナル フリー
    西部亜寒帯および亜熱帯太平洋における繊毛虫プランクトンの役割を,その生産と被捕食を調査することによって把握した。繊毛虫の生産は,現場海域で得られた現存量と成長速度によって求めた。一方,繊毛虫の被捕食は,有鐘繊毛虫のロリカをトレーサーとして用い,そのトレーサーが大型の動物プランクトンに捕食されるならば,糞粒に取り込まれて深層に輸送されるという仮説を設定し,その輸送量より求めた。その被捕食量は,繊毛虫生産に対して両海域とも小さくなっていた(亜寒帯域で1.6∼13.7%,亜熱帯域で3.0∼15.6%)。表層海洋における繊毛虫プランクトンの生産の重要性は,高次の食段階にエネルギーや物質を伝える栄養階層としてよりも,特に貧栄養の亜熱帯海域では,微生物環を機能させることによって,再生生産系を実現するという点でより重要であることが理解された。
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