化学工学論文集
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10 巻, 4 号
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  • 高橋 勝六, 竹内 寛
    1984 年 10 巻 4 号 p. 409-414
    発行日: 1984/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    硫酸銅水溶液からLIX65N-ケロシン溶液による銅の抽出速度を平界面接触攪拌槽を使って検討した.LIX溶液を繰り返し使用することにより銅の抽出速度は増加する.この原因としては市販のLIX65Nに含まれる界面活性をもつ不純物が抽出反応に関与し, 希硫酸による洗浄でこの物質は減少することが考えられる.抽出速度は ([RH] i/ [H+] i) pに比例し, 上述の不純物の影響下では指数pは0.5となり, 精製したLIX溶液では1以上になる。しかし未精製のLIX溶液でも比界面積が大きい接触装置を用いたり, pHが小さい条件下ではpは1以上に増加する.
  • 米本 年邦, 進藤 隆世志, 猪股 博之, 只木 〓力
    1984 年 10 巻 4 号 p. 415-420
    発行日: 1984/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    苛性ソーダ水溶液による炭酸ガスの吸収速度に対する液相イオン泳動の影響を考察する目的で, 液相に存在する全成分種に関して泳動項を考慮した拡散方程式を誘導し, その数値解を, それぞれ等温および断熱条件下で求めることにより, 現象を理論的に解析した.そして濡壁塔を用いた吸収実験を行い, 理論解析の妥当性を検討しつつ, 既往の理論解との比較を試みた.その結果本解析によって, 既往の理論解析では説明できない高濃度溶液の場合についても, 吸収速度に関する実測値をほぼ定量的に推算することができ, しかも化学的には不活性であるナトリウムイオンが, 泳動速度が有限であることによって, 総括吸収速度をかなり低下させることを明らかにできた.
  • 山本 秀樹, 倉田 陽, 三箇 清治
    1984 年 10 巻 4 号 p. 421-426
    発行日: 1984/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    NH4Br-NH3およびNH4I-NH3系のエンタルピー濃度線図を作成するために, これらの系の比熱, 微分溶解熱を測定した.
    実験では, 双子型熱量計を用いて比熱を濃度範囲0~70wt%, 温度範囲10~50℃, 微分溶解熱を濃度範囲0~70wt%, 温度25℃で測定した.また, 得られた微分溶解熱とこれらの溶液系の活量から推算した微分希釈熱より積分混合熱を求めた.
    使用した双子型熱量計の精度は, トリスヒドロキシメチルアミノメタン (THAM) の0.1 N HClおよび0.1 N NaOH水溶液への溶解熱の測定により, 文献値からの最大偏差は3%以内であることを確かめた.
  • 加藤 康夫, 田浦 良文, 籠 運弘, 諸岡 成治
    1984 年 10 巻 4 号 p. 427-431
    発行日: 1984/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    直径12cmおよび19cmの3相流動層において, 塔内に垂直に挿入した管壁と層間の伝熱係数を測定した.空気-水および空気-カルボキシメチルセルロース水溶液を流動媒体として, 粒径の異なるガラス粒子 (直径0.52~2.2mm, 密度2500kg・m-3) および多孔質アルミナ粒子 (直径3.2mm, 見かけ密度1620kg・m-3) を流動化した.液およびガス流速はそれぞれ0.05~8.0cm・s-1および2.0~16cm・s-1の範囲で変化させた.
    安定流動域の限界液流速, ul3, は次のように相関された.
    ul3/ut=0.336 (ηl0l) 0.5/ (1.9+Fr0.9) ここに, utは粒子の終端速度, ηl0は水の粘度, ηlは液粘度, Fr=ug2/gdp, ugは空塔基準ガス流速, gは重力加速度, dpは粒子径である.
    安定流動域における伝熱係数, h, は次のように相関された.
    Nu'= {0.058 (Re'・Pr) 0.78+2.3} (dh/dh0) -0.5
    ここに, Nu'=hdpεl/ {kl (1-εl}, Re'=dpulρl/ {ηl (1-εl)}, Pr=cplηl/kl, dhは伝熱管径で2.2~6.3cm, dh0=2.2cm, εlは液ホールドアップ, klは液の熱伝導度, ulは空塔基準液流速, ρlは液密度, cplは液の比熱である.
  • 稲積 彦二, 川崎 順二郎, 鈴木 孝典, 渡部 真人, 花岡 宏明
    1984 年 10 巻 4 号 p. 432-438
    発行日: 1984/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    傾斜平板上を流下する液膜へのCO2の吸収実験を液膜が乱れを伴う領域を含む条件下で行い, また液膜の表面流速および液膜厚みを測定して, 物質移動速度と液膜の流動状態に関与する主要因子との関係について検討した.
    液膜の流れ方向の濃度が急激に増加する位置が認められ, その位置は波立ちの発生位置とほぼ一致した.
    流下初期の層流域の物質移動速度は, 加速域の表面流速の変化を考慮した気-液接触時間を用いれば, 浸透モデルによってかなり良く推算できる.
    乱れのある領域においては, 液本体の濃度変化を考慮した表面更新モデルによって, 流れ方向のCO2濃度の実測値より表面更新率を求めた.表面更新率S'と流量および傾斜角との間に規則的な関係があり, それらの因子は修正St数とReL数の無次元数で表された.
  • 船越 正機, 張 振祥, 井上 博愛
    1984 年 10 巻 4 号 p. 439-445
    発行日: 1984/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    硫酸銅溶液からアルミニウム管内壁に銅を析出付着させた管壁反応器を用いてプロピレンの部分酸化反応を行い, いろいろな反応条件での触媒と生成物の挙動を測定した.その結果, アクロレイン生成速度の初期活性と定常活性とが非常に異なる場合があることが明らかにされた.さらに, この定常活性は酸素分圧, 反応温度などの反応条件によってアクロレイン生成速度が100倍も異なる2つの領域に分かれることが示された.この定常活性において反応速度におよぼす反応物濃度依存性を明らかにした.また熱天秤による反応条件下での重量変化の測定からアクロレイン生成速度の大きい領域では触媒の重量変化がほとんどなく, アクロレイン生成速度の小さい領域では重量増加が大きく両者が非常に良く対応することを明らかにした.
    二酸化炭素など他の生成物の生成速度にはアクロレイン生成速度で見られたような2つの領域は確認されなかった.
  • 船山 斉, 荻原 宏二郎, 菅原 拓男, 大橋 弘保
    1984 年 10 巻 4 号 p. 446-453
    発行日: 1984/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    分散相による反射・散乱の重畳する不均一系光反応器内の絶対光強度を検出する新しい化学光量計の開発を行った.
    まず, 1, 10-フェナントロリン0.135mol・m-3, シュウ酸カリウム1.5mol.m-3を含む希薄なシュウ酸鉄 (III) カリウム水溶液 (濃度0.03mol・m-3 に, 20~40℃ の温度範囲で366nmの単色光平行光線を照射し, シュウ酸鉄 (III) カリウムの光分解を動力学的に検討した.そして, 得られた反応速度式中の二つのパラメータを, 未反応物・生成物の拡散および内部フィルターの影響も考慮に入れた解析をもとに決定した.つぎに, この水溶液 (希薄なシュウ酸鉄 (III) カリウム化学光量計, DPOF化学光量計) を用いて反射板を有するセル型回分反応器内の反射の影響を含む絶対光強度を測定し, さらに, 内部フィルターが無視できる程度の光路長をもつDPOF化学光量計を用いて, 不均一系光反応器内の絶対光強度を決定する方法を示した.
  • 星野 照彦, 笠原 道夫, 油川 博
    1984 年 10 巻 4 号 p. 454-460
    発行日: 1984/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    エマルションを二相に分離する技術は各種工業において重要であるが, 最近注目されている乳化法による液-液抽出操作において, 抽出後の効果的な二相分離技術の開発は特に重要な技術課題である.
    本研究は濾紙を用いてエマルションを濾過した場合について, 濾紙の濾過特性の検討, 性能の優れた濾材の探索, 濾過機構の解明, 濾過機構に基づく濾過式の解析を目的として実施したものである.
    その結果, グラスファイバー濾紙がエマルションの濾過特性に優れていること, 解析の結果得られた濾過式の妥当性などが実験的に確かめられた.
  • 渡辺 藤雄, 架谷 昌信
    1984 年 10 巻 4 号 p. 461-468
    発行日: 1984/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    活性炭による水溶性含窒素有機化合物-ジシアンジアミド (S1), メラミン (S2) およびp-フェニレンジアミン (S3) -の平衡吸着量の測定を行い, これらが通常の活性炭吸着の対象として用いられる吸着質と同程度の吸着性を有することを認めた.
    つぎに, 吸・脱着速度に関して, 窒素トレーサー法による粒内吸着量分布の測定を行い, これと拡散方程式の解とを比較し, 粒内拡散機構について検討し, 次の知見を得た.1) 吸着過程の吸着量分布は拡散機構の相異を明瞭に示し, S2では細孔拡散・表面拡散並起, S1およびS3では表面拡散支配とみなされた.2) 脱着過程に対しても吸着過程の拡散機構がそのまま適用しうるが, 脱着過程におけるS1の表面拡散係数は吸着過程とほとんど変わらないのに対し, S2では吸着過程にくらべて0.1~0.3倍と小さくなった.
  • 豊倉 賢, 山崎 康夫
    1984 年 10 巻 4 号 p. 469-474
    発行日: 1984/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    連続式晶析装置を定常状態で操作したときの製品結晶粒径分布を用いて, 成長速度を考慮し個数収支をたて, 操作特性因子間の, すなわち結晶生産速度, 核発生速度と粒径の相関, および結晶生産速度, 核発生速度, 線成長速度, 空間率と粒径に関する相関を得た.製品結晶粒径分布は, 実用的に用いられることの多いRosin-Rammler法により表される累積質量粒径分布から算出した.線成長速度は, 実装置の特性を考慮してBransom式にみられる粒径依存を考慮した式を用いた.また核発生速度および体積形状係数は, 粒径のべき関数で表した.これらの関係式を整理し.各指数を直読できるような新しい線図を提出した.
    青山らによって報告された工業装置のデータを線図上に点綴し, 各系に対する各指数を求め, 工業装置の設計や操作条件の決定のための新しい手法を提案した.
  • 川島 博之, 鈴木 基之
    1984 年 10 巻 4 号 p. 475-482
    発行日: 1984/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    浅い富栄養化河川においては, 河床付着性藻類の呼吸により, 夜間, 水質の悪化が観測される.このような河川の水質 (SS, DOC, DO, 全無機態窒素, リン酸態リン濃度) をシミュレーションするモデルを作成した.これは, 河床付着性生物の増殖, 呼吸, 堆積物の増加と水質の関係をモデル化したものである.ここで, 河床付着生物と堆積物は降雨の際洗い流され, その後, 増殖や蓄積を繰り返すとしている.本モデルを用い, 多摩川の支流である野川の水質シミュレーションを行ったが, 計算値は実測値とよい一致を見た.また, このモデルを用い, 野川の水質改善策について検討を加えたが, 流入する栄養塩の量を減少させることが, 雨後10日ほど経た夜間においても, 良好な水質を得るためには, 必要であることが明らかになった.
  • 大嶋 哲, 鈴木 守夫, 島田 和夫, 湯村 守雄, 武松 敏弌, 栗木 安則, 吉留 浩
    1984 年 10 巻 4 号 p. 483-488
    発行日: 1984/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    工業規模の石炭液化反応器としては, 三相流動層反応器が最も現実的であると考えられる.
    しかし, 実験室規模装置での三相流動層反応器は流体の線速度が小さいために, 固体の沈降などの問題を生ずるおそれがある.そこで, 固体の沈降を防ぎ, 大型装置に近い流動特性を得るように考慮した小型連続攪拌槽反応器を試作した.そして, その特性を明らかにすると共に, 石炭液化反応との関係について検討を行った.
    1) 本反応器は完全混合型反応器であり, 攪拌機回転数の増加に伴って分散ガス量およびKGaは増加する.
    2) 本反応器を用いた石炭液化反応の結果は, 攪拌機回転数 (すなわち, 分散水素量あるいはKGa) の影響は認められなかった.このことは, 本実験条件下で石炭液化に必要とされる水素量は, 反応器断面積相当の気液界面からの移動量で十分であったか, または溶媒中の水素供与性物質から供給されたことによると考えられる.
  • 長棟 輝行, 遠藤 勲, 井上 一郎
    1984 年 10 巻 4 号 p. 489-498
    発行日: 1984/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    逐次流加培養法で生産されるアルコール収量を最大化するための実用的なアルゴリズムを得ることを本研究の目的とした.すなわち, 状態ベクトルや決定ベクトルの適切な格子点を選び, 計算に適する補間法について検討を加えて動的計画法の実用的なアルゴリズムを示した.なお, このアルゴリズムでは, システムの状態ベクトルの次元を小さくし計算時間を短縮するために, 独立変数には発酵時間の代りに正規化したグルコース濃度を採用した.
    このアルゴリズムを用いることによって, 目的関数の最適値の計算精度を高め, 計算時間を通常の1/60に短縮することができた.また, このアルゴリズムは, 逐次流加操作の最適化ばかりでなく, 逐次流加培養系のリアルタイムでのオンライン制御にも適用できることがわかった.
    最適化計算の結果, アルコール収量を最大にするためには, 基質の全量をたかだか4回に配分して流加すればよいことが明らかとなった.
  • 横山 真一郎, 早川 豊彦
    1984 年 10 巻 4 号 p. 499-505
    発行日: 1984/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    化学プラントにおいて, 災害, 事故を未然に防ぐとともに, 保全を経済的に行うことが大切である.そのためには, 時間基準保全から状態基準保全に移行すべきであるといわれている.そして, これを推進する重要な技術の1つとして, 設備診断がある.
    そこで本研究では, 装置・機器に対して, 設備診断 (または監視) を行うことにより信頼性を高め, 措置することによってそれらの寿命を延ばし, その結果プラントの安全を確保する設備診断モデルを用いて, 定期保全間隔内における設備診断開始時点を決定する, 状態基準に基づく最適保全計画手法を示した.
    化学プラントにおける災害や事故, またはそれらの直接原因となった設備故障には, 塔, 槽類などの大型設備の外に, 小型ポンプや圧縮機などの回転機器や, 配管, 計装, 弁などの付属設備のような, 比較的小型の設備の故障が意外に多く, またそれが大型災害につながる場合がある.そこで本研究では, 小型の付属設備のように, 比較的簡単に取替えや冗長設備への切替えが可能な設備を対象とした.その際, 設備に表面亀裂や発熱などの兆候が発生するまでの時間と, 兆候が発生してから致命的故障 (以下, 単に故障と呼ぶ) が発生するまでの時間を表した確率変数が, 異なる確率密度関数 (P.d.f.) に従う2段階の故障モデルを用い, その故障法則としての分布形は, それぞれの段階で形状母数の異なる2母数ガンマ分布を仮定した.さらに, より実際的なモデルにするために, 兆候検出および兆候発生部分の修理に要する時間を考慮した.そして, 診断費用が診断時間に比例する場合の最適診断開始時点の決定方法を示した.その際の最適化問題においては, 故障の発生に伴う期待損失と, 種々の保全費用の総和が最小となるように検討した。
  • 長棟 輝行, 遠藤 勲, 井上 一郎
    1984 年 10 巻 4 号 p. 506-512
    発行日: 1984/07/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    酵母 (Saccharomyces cerevisiae) の逐次流加培養系において, 種々のグルコース使用量, 植菌量に対してアルコール収量の最大値を計算した.その結果, アルコール生産量, アルコール収率, アルコール生産性に関する実用的な逐次流加培養操作指針図を得た.また, 逐次流加培養法でアルコール収量を高めるためには, 植菌量が少ないほど, 使用基質量が多いほど回分培養の初期培養体積を小さくし, 多くの回数 (しかし, 多くとも3回まで) に分けて基質を流加すればよいことがわかった.
  • 川井 利長, 松村 建一, 宮武 修, 橋本 俊行, 大嶋 哲, 鈴木 守夫, 島田 和夫, 湯村 守雄, 武松 敏弌, 栗木 安則, 吉留 ...
    1984 年 10 巻 4 号 p. 513-544
    発行日: 1984/07/10
    公開日: 2010/11/22
    ジャーナル フリー
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